本書は「学としての建築」の分析である。これは私が大学院修士課程の学生であったころからの問題意識であり、フランスの建築アカデミーという、おそらく最も保守的と思われている対象を意図して選び、その体制としての教義がいかにして成立しているかを探求したものである。本書の第一部は修士論文をほぼそのまま再録したものだが、その「まえがき」にはつぎのように記していた。
 「本論では、フランスの建築アカデミーにおける、制度的改革と、建築理論、建築の学の内容の変遷が記述されている。こうした作業における著者の意図は、まず建築をひとつの学問体系としてとらえ、その内在的理解を基礎としつつも、むしろその外在的側面に注目することで、学としての建築を相対化し、それを評価し、そのあり方を問うことにある。しかし今回の試みでは、現象的記述においても、分析方法の確立ということにおいても、はなはだ不十分なものに終ってしまったことは明らかである。したがって本論においては、時代ごとの、建築の学と制度の、いわば性格づけがなされていること、著者が読者に保証できるのはここまでにすぎない。(以下略)」
 成長していないともいえるが基本姿勢はそのままである。今回はその「現象的記述」を追加したということである。