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2016.08.27

建築デザイン発表会

建築学会大会の企画で、招待講評者にしていただいた。20前後の作品にコメントし、優秀賞を選んだ。

テーマとして20世紀初頭のKWであった「生活」概念を批判的に浮上させるようなプロジェクトを求めたのであった。春先の準備会合では、このテーマでは論文コンクールのほうがよかったかなと思ったものであった。それでもひとつひとつのプロジェクトの内容もそうだが、連続してプレゼしたもらいことで、浮かびあがることもあり、総体として21世紀の(批判的?)生活概念もみえてくるような気もした。

最近、歴史学の学会でも生活改善運動などをテーマとするシンポジウムもなされている。思想系でかつてのフーコーの生権力概念がレビューされており、それに呼応する建築論もある。また生命科学などでも生命概念が更新されつつあるようである。そういうことで生、生命、生活などの連動性を見たいとおもった。

プロジェクトのなかで参考になったものとしては、3類型にわけられる。医療・介護などもまた生活プロセスのひとつとして積極的に設計しようというもの。生活は衣食住というリアルなものだけでなく、自然、宗教、スポーツ(祝祭性)などともかかわっているという視点。20世紀の諸政策にもかかわらず、社会は不均質で諸問題をそのまま残したままつづいているのだが、そのなかでの生活というもの。最後のカテゴリーは「わけあり地域の再生」というわれながらの?キャッチコピーをつくったものであった。差別や、反社会的などというものを内包する生活もなくなりはしない、という視点である。

したがって作品の完成度ではなく、問題提起性を重視して優秀作を選んだ。応募された学会員のみなさんのなかには納得いかない方々も少なくないとは思うのだが、ぼくとしては充実した経験となった。

メディカルタウンの構想で、医療システムのみならず、空間や景観などを重視して設計したものは注目できた(ただ想像の範囲内なので・・)。地方の小都市で、総合病院を郊外に建設するのではなかく、中心部において町と病院を混在、融合させ、それが患者と地域住民の交流になっていくという、病院というより、都市のありかたを再考させるものは、はっきり問題提起型である。建築というより地域システム設計であるが、ある水系をひとまとまりに考え、自治体をこえるエコシステムの自然インフラを整備し、そのうえで居住、観光、産業プロジェクトを提案するもの。これは、ちょうどITでプラットフォームをつくり、そのうえでさまざまな商品、プログラム・・・を考案可能にするシステム一式のようなものである。日本のインフラが更新の時期にきていることもあって、いまどき普通のようだが、重要な視点だとおもった。それから大学と住宅街の混在、住宅街のなかに被差別民と学生の混在というように、ソーシャルミックスのプロジェクトは、用途の混在をめざす21世紀的な都市計画でもあり、こうした点をもっと自覚的にアピールしてもいいだろう、と思った。

そのほか、宗教団体が整備する施設が、地域施設にもなっている例もあり、かなり興味をひかれたが、その宗教団体の方針そのものが紹介する意義のあるものであろうが、たほうで、建築家による説明はやはり専門技術者によるもので、背景まで遡及することについては控えめであったという印象である。

懇親会で挨拶をもとめられたので、いま大学等でときどき話題になる、設計作品で博士学位をとる制度整備についてふれた。知る限りでは、すでに一部の大学でそのための制度設計をしているが、全国の多くの大学で個別に対応するのは全体としてエネルギーの無駄であり、スタッフ数の少ない大学ではそもそも対応できない。それは学会のほうで、作品プラス学術解説のようなスタイルで、研究論文とみなして、業績をカウントする制度を整備するのがよいのではないか。

成熟した建築家ほど、闘争性を隠した、大人の説明をするのはあたりまえなのだが、すると背景、構造、思想性といったものがうわべは弱々しい説明になる。今回のような発表会でぼくのような講評者ということになると、不利になるのである。

ところが自作をもって論を構築する、という方式が、学位取得の方法論になるというような制度整備があれば、こんどは論が作品にも反映されて、建築界はますます発展すると思うのだが。

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