著者:ジョン・オナイアンズ/イースト・アングリア大学(イングランド南東部ノーウィッチ)教授(美術史専攻)、美術史研究所所長。1942年生まれ。ケンブリッジ大学トリニティー・カレッジで古典学、ギリシャ・ローマ考古学を学び、ロンドンのウォーバーグ・コートールド研究所で美術史、建築史を研究。ニューヨーク、アムステルダムで美術史、建築史の講座を担当、ギリシャ・ローマ美術、ヘレニズム美術と建築、ルネサンスの美術と建築に関する著作と論文多くを執筆。『建築オーダーの意味Bearers of Meaning』で1989年度サー・バニスター・フレッチャー賞を受賞。
●内容(「MARC」データベースより)/古代から近代に至るオーダーの変遷を作例と史料に基づいて記述する。オーダー成立の史的背景、古典様式の理念など、形態と様式の背景にある建築思潮の系譜と発展を重視。特にヘレニズム時代のオーダーについて深く解読する。 ●土居の担当は、古代、ウィトルウィウス、ルネサンス、ヴェネツィア、セルリオなど。
原著のハードカバー版は、イタリア版がミラノのエレクタ社から1977年に、英語版がニューヨークのエイブラハム社から1980年に出版されている。翻訳において直接参照したペーパーバック版はリッツォーリ社から1987年に出ている。●共著者のひとりデイヴィド・ワトキンは新古典主義の専門家で、トマス・ホゥプ、コッカレルなどにかんするモノグラフを書き、またMorality and Architecture,1977(榎本弘之訳『モラリティと建築』)やThe Rise of Architectural History, 1980(桐敷真次郎訳『建築史学の興隆』)においてペヴスナーらによる近代建築解釈の方法論を批判しつつ、English Architecture, a Concise History, 1979(『イングランドの歴史、その概略』邦訳なし)ではイングランドの通史を新たな観点から書き、またGerman Architecture and the Classical Ideal 1740-1840, 1987(『ドイツ建築と古典的理想1740-1840』邦訳なし)でふたたび新古典主義に触れるなど精力的に執筆活動を展開している。の翻訳をとおして知られているが、このほかにもEnglish Architecture, 1977などがある。もうひとりのロビン・ミドルトンはThe Beaux-Arts Tradition and nineteenth-century French Architecture, 1982(『ボザールの伝統と19世紀フランス建築』邦訳なし)など、フランスの近世建築にかんする研究が多い。●ペヴスナーやサマーソン、あるいはカウフマンらが近代建築の理念を延長するかたちでヨーロッパ建築の歴史を読み解いたのに対して、彼らはいちど近代主義イデオロギーを批判し、それからやや距離をとりながら歴史叙述をおこなっているように思える。すくなくとも上記の文献においては、モダニズムのバイアスを経由しないでより直接的に18-19世紀の建築の諸理念に対峙しようとしているのは顕著である。
最近のコメント