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2011.11.15

Caenの大プロジェクト

カンからバイユというところに鉄道で移動した。時間つぶしにキオスクでぶらぶら。村上春樹の『1Q84』第一巻がおいてあった。22ユーロもするので買わず。L'EXPRESS誌の特集が『10年後のカン----都市を変容させる大プロジェクト』と面白そうだったので、買って車中で読んだ。

邪推だが、全国紙のうちのご当地特集のようで、ページは正規連番ではないので、地方枠特別刷り込みといったところだろうか。すると表紙も地域によって変えられるようになっているようである。

建築プロジェクトによって都市が活性化されるという、いまどき珍しくストレートな内容である。内容を抄録してみよう。

ギヨーム征服王いらい中世、カンは躍進した。第二次世界大戦で市街地の70%を破壊されたが、復興した。戦後、産業も充実していたが、ノルマンディー金属協会やムリネックスが撤退すると衰退傾向にあった。市長はそれでも新テクノロジーの都市であり、研究開発が充実したダイナミックな経済を誇っているという。しかし人口は減少しつつあり、さらにグラン・パリ構想に位置づけられていないことから、それを模索しなければならない。

カギとなるのがパリ/カン間の鉄道の高速化である。パリに「近すぎて」TGV網から除外されていて、おかげで「19世紀以来まったく発展していない」鉄道連絡を刷新して、いまだと1時間45分から2時間かかるパリ/カンを、1時間15分にするのだという。2020年までには完成させたい意向。なるほどこれなら通勤圏になる。

さらに6大プロジェクト。

(1)ロルヌ川沿いに、集合住宅、オフィス、ホテル、シネコン、ショッピングセンターなど多目的複合施設。これは工事中であった。

(2)図書館。レム・コールハース設計。運河沿いに、十字形プランの図書館。図書のジャンルにしたがって4部分にゾーニングだが、外観よりもボリュームをくりぬいて巨大なボイドをつくり、そこを閲覧室などにする。ストラテジー・オブ・ボイドの再現であろう。出資は市が56%、地域圏文化局が27%、県が10%、地域圏が7%と、いまの地域圏行政システムの動かし方が垣間見える。

(3)公営スイミングプール。ソーラーパネルで温水を用意するのだそうだ。

(4)メディアセンター。旧公国館の再利用。

(5)医学部

(6)空港。滑走路を延長してビジネス用の空港としないと、経済が成長しないのだ、という。

そのほか、トラムの延長、港の充実、などいろいろである。

これら全体は2040年(!)を目指しているという。

カンはコンパクトな歴史的都市であり、文化遺産もそこそこあり、緑や水辺も充実していて、都市施設を充実させればかなり魅力的であろう。そのためにはインフラを整備して、パリとの連絡だけではなく、グローバルネットワークのなかにはいっていかなければ埋没してしまう、ということである。現状では、街も、落ち着いていし、失業者がウロウロしているわけでもないが、そんなに活気があるとはいえない。魅力的な公共建築をつくることが、都市の活性化になれば、ほんとうによいのだが。日本とはサイクルが違うという印象である。

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