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2010.09.03

スローな建築ガイドツアーにしてくれ

地元企画の反省会が昨晩あった。お酒を飲んでいると、いろいろ昔を思い出した。

オープン・ハウス的なものは最近だが、類例の幅を広げるといろいろ昔からある。

パリに留学していたころ、旅行代理店の企画する日帰りバスツアーの広告をよく目にした。ロワール川古城巡りとか、今なら文化遺産ツアーなどというのであろうか。

それとはべつに学生福利厚生機構のようなものが企画する、教育目的をかねたツアーもいろいろあった。お金がなかったぼくは、古城巡りに参加したことがある。なかには現代建築ツアーもあって、ボフィールの集合住宅ツアーにも参加したことがあった。解説者はけっこう物知りな人であって、ボランティア的であったかもしれないが、けっして素人ではなかったと思う。参加者のなかには高校生のグループもいて、彼らははしゃぐはしゃぐ。・・・遠い、昔話である。

ロンドンやパリでは「文化遺産の日」に悉皆的なオープンハウスをやっている。9月の第二週か第三週あたりであるから、もうすぐだ。残念ながら今年は行けませんが。これまでに2回ほど遭遇したことがあるが、町中がハイテンションで、狂おしいほどの雰囲気であったことが印象的であった。大統領官邸まで公開された年があったと記憶している。長蛇の列ができていたのであっさりあきらめたのであった。

いつだったか忘れたが、ギーズ市にアンドレ・ゴダンが建設した労働者集合住宅ファミリエステールも見に行ったさいも、施設のほとんどは公営住宅であるが、1~2ユニットが公開されていて、ガイドツアーが企画されている。それにも参加したことがあった。建設当初の逸話もきくことができて面白かった。近代化の常で、工場労働者はもともとは農民である。彼らは近代的な集合住宅に移り住んでも、鶏や豚など家畜といっしょに住むことをなかなかやめなかったそうである。

ちょうど10年前、アメリカを観光旅行した。どこにいってもすでに、建築見学にはボランティア解説員のいる見学ツアーというものが定式化していた。ボランティア活動の活発さ、マニュアル的、システマティック、云々でとてもアメリカ的だなあと思った。

シカゴ建築協会が企画する見学ツアーにも参加し、オークパークのロビー邸もみた。元高校教師といったかんじの女性がなにかとても説教口調で解説していた。でも自由時間はたっぷりとってくれて、いろいろ見れた。

ピッツバーグから車で落水邸をみにいった。見学センターのようなものができていて、そこからデッキで落水邸にゆく。ガイドがひとり、見学者が10名ほどであった。ぼくたちのグループのガイドは、女子学生であった。彼女はいかにも暗記したマニュアルを発声するという感じで、やや機械的に、朗々と、でもとても真摯に説明した。見学者の老女性が声をかけていた。あなたどこから来たの?テキサス?大学が夏休みなのですきなフランク・ロイド・ライトの建築解説のボランティアをやっているの?えらいわねえ。・・・ぼくはライトの建築よりも、こういうボランティアのあり方のほうがよっぽど関心がわいた。なにしろ落水邸そのものは、一目見てああ観光地だ、と思ってしまったものだから・・・。

ラホヤのソーク研究所は、LAから車で3時間ほど南下して見に行った。ここも見学ガイドツアーがあったので、申し込んで見に行った。さすがに参加者は少なく、5名ていどの小グループであった。やはりボランティア解説者がとてもよく勉強していて、いろんなことを解説してくれた。設備フロアと一般フロアが交互にあることもよくわかったし、ツアーならではで、その設備フロアもきっちりのぞけたことはよかった。でもぼくはRC壁の目地ですが、普通ならひっこんでいるのに、なぜでているのですか、などとつい質問してしまい、あとでさすがに大人げないなあと反省したものであった。

こういう建築見学ツアーはやりかたはいろいろであろう。営利なのか教育なのか。公的機構なのかNPOなのか。解説者は専門家なのかボランティアなのか教育的配慮のもとでの学生なのか。

でも「建築」見学ツアーは基本的にはスローであるべきである。建築はとても総合的で多面的なものであるから、時間をかけて見るべきだし、反芻する時間も必要だ。だから1日1物件、2時間ほど、であろう。まあついでにもう一件、はありえるだろう。

ぼく自身はバックパッカー時代にイタリアの建築などを見学していたころ、午前4物件、午後6物件など一級品を見学してとても充実したのであるが、夕刻へろへろになるころには、その日午前中になにを見てどう感銘をうけたか、などすっかり忘れてしまっていたのであったから。

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