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2010.05.09

もはや保存建築家は絶対ではない?

フランスではフランス建物建築家(ABF:保存建築家のようなもの)の権限を制限する方向で、法制が整備されている。環境法を優先するためであるというから、皮肉なものである。

WEB版ルモンド紙の記事(2010年5月7日16時33分)では・・・。

5月6日、下院では「グルネル2」法案を審議しているなかで、フランス建物建築家の同意を得なければならないということを廃止した。この点については、まず政府による法案ではABFはたんに諮問される(avis consultatif)のみであった。つぎに上院では、やはりABFの「合意は義務」とされて、それがなければ保護区域での建設許可はおりないことになっていた。しかし下院では、このABFが「グリーン」建設技術の足かせになっているとして、全面的な改訂がなされた。「グルネル2」法案では建築・文化遺産を活用する領域が全面的に改定されるようで、現状のZPPAUP(建築・都市・ランドスケープ遺産保護区域)は新しい制度にとってかわられるようである。ABFの意見は、建築許可にとっては単に意見を述べるだけになる。市長など自治体のトップと意見が一致しない場合は、地方圏長が決める。ミシェル・ピロンは「絶対権力ではなくなり相対的権限となるが、最終的には国家の発言力が勝る」となる。審議はもう最終段階だそうだ。

・・・どうなるのであろうか?

とはいえABFはもともと、建築プロパーというより、都市計画分野の人材である。保存対象となる建築をコアにしてその地域の保護と活用に指針を与える立場である。フランスの優れたところであるが、それがオールマイティでなくなるということは、やはり拒否権的な権限のありかたが問題であったのであろう。

これで建築保存が失地するということではないと思うのだが。

WEB版ル・モニトゥール誌の記事(2010年5月7日10時50分)では、その件に関連して、屋根にソーラーパネルが設置される場合、まさにABFの立場と、エコの立場が矛盾することに触れている。

現行の法制度における、政府(省)見解である。保護地区内で屋根にソーラーパネルをとりつけようとする計画があったとする。ABFが反対の意見を述べた場合、ABFの意見は、建設許可を発行する機関を拘束するものとなる。

また保護区域の内外でどうだとか、ソーラーパネルの取扱いについては、まだフランス国内で統一的システムがあるとはいえないようで、省庁横断的な議論がなされているようである。

文化/環境が対立する構図となるフランス。対岸からみると一種の思想実験である。

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