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2010.04.24

『初めての建築設計 ステップ・バイ・ステップ』

・・・を贈呈していただいた。神戸芸術工科大学の花田からさんである。花田さんとは、同世代でかつ高校・大学(学科)も同じである。最近あっていないがご活躍のようで、なによりです。同世代であり、根っからの建築好きも同じと思っている。かつぼくの大学に毎年、非常勤できていただいている。もう10年以上前からである。さすがに「もうそろそろ」とおっしゃているようだが、「まだまだ」と申し上げたいものです。

この本は大学2年生ていどのレベルを念頭においていて、初めて設計の課題にとりくむ学生が迷わないように親切に解説している。

まず、課題の解釈、敷地周辺のスタディ、ボリューム、諸室の配列、プレゼ、スピーチというように実際の作業順に解説していて、たいへん実用的である。

それから領域横断的であり総合的である。構造、設備、社会スタディ、敷地周辺スタディが、ノウハウ本のような形をとりながら、それぞれの分野のエッセンスが初学者にそれとなくつたわるようになっている。構造、RCのラーメン構造。構造力学の考え方と、設計への導入の仕方、実施、プレゼとひとつながりのプロセスで書かれている。

これまでさまざまな建築本のスタイルがあるが、それら横断的でもある。資料集成的な書き方、建築論的な書き方、計画学的な書き方、フリーペーパー的な書き方が、適材適所に混在していてたのしい。それらが階段の断面、模型作り、エスキス、空間構成、プレゼ(パネルのレイアウト)などに及んでいる。

図面の種類もそうで、図面も、エスキス、プレゼ、実施的なものが近い距離でレイアウトされていて「なるほど」である。

「人前で発表してみよう」もなかなかよかった。教師として学生にせっしていて、いちばん歯がゆい部分である。

教師目線でいうと、なかなかかゆいところに手が届いている一冊である。

でもぼくと花田さんの30年以上におよぶ友情に甘えて、ひとつ注文しようかな。つまりこれは「入門編」であるから、「発展編」も書いてほしい。

発展編のテーマはなにか?それはいかに「課題」を設定するかを、学生がひとりでできるようにすることである。『ステップ・バイ・ステップ』は初学者むけだから、先生たちが「まちなかファクトリー」という課題をあたえ、学生がとりくむというストーリー展開が書かれている。しかし学生が学んでゆけば、そのうち「現代や社会はどのような建築を要求しているか?」というメタ課題をみずからに問わねばならなくなる。その手助けをするのが教育であろう。

ノウハウ本的に考えれば、それは新聞や書籍の読み方、WEBでの情報検索の仕方、ゼミの方法、レジメの書き方、ディベートのしかた、話し方、聴き方、そしてそれらの前提としてあるべき個人哲学の構築法、リテラシ-、のようなものであろう。

ぼく自身はきわめて断片的なことしか教えていない。ゼミでは、情報を時間軸で編集してみよう、文献になにが書かれているかではなく、なにが書かれていないかを読め、といようなことを毎年指示する。それ以上のことはその場その場でいうだけである。しかしFD的に、そんなノウハウを集めてみるのも楽しいかもしれない。

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