« グラン・パリ法案反対と精神論的な建築教育論 | トップページ | ヴァルター・ベンヤミン『写真小史』とウジェーヌ・アジェ »

2010.04.29

フランス上院もグラン・パリ法案を可決

2010年4月27日付けのWEB版ル・モニトゥール誌の記事である。抄訳してみよう。
http://www.lemoniteur.fr/131-etat-et-collectivites/article-dossier-actualites/702119-le-senat-adopte-le-projet-de-loi-sur-le-grand-paris

下院ではすでに可決されている。この計画の目玉は首都を一周する環状メトロである。5月20日に上下院で統一した文書とするため、委員会が開催される。

この新しい環状メトロは郊外の経済拠点 (Saclay, La Défense, Plaine-Commune, Roissy, Orly...) を結ぶもので複線である。駅周辺の地区の再開発をうながし、郊外と郊外の連絡を促進する。

214億ユーロの投資をうけてこのメトロはイル=ド=フランス地域圏の発展に貢献するであろう。特任大臣クリスティアン・ブランによれば、これによって「NY,ロンドン、東京と並ぶ世界4大都市の地位」を保つことができる。(まだ東京は偉かったんだ)

法案を可決した多数派は、対抗案を葬り去った。イル=ド=フランス地域圏が提唱していた「Arc Express」というもので、パリ近郊の環状鉄道網である。この地域圏の圏長である社会党のジャン=ポール・ユションへの宣戦布告となった。

新しいメトロの財政のための新税も可決された。新メトロがこたらす不動産の付加的価値について、RATP(パリ交通局)の資産はStif(Syndicat des transports d'Ile-de-France présidé par M. Huchon, ndlr)が所有すること。40万ユーロの資金は、国が自動車会社に融資したものが2014年にもどってくるので、それで補填。のこりは借入である。

ハウジングも初心にもどって、国が県を経由して振興する。毎年7万戸をイル=ド=フランスに供給。グラン・パリ公社(SGP)の総裁の定年は、下院ではなしとされたが、上院は65歳とさだめなおした。

5月20日に上下院からそれぞれ7名ずつの代表があつまった委員会で法案の調整と統一化される。一方、左派は憲法院に訴えるなど抵抗の構え。云々。

・・・100年とちょっと前に現在のメトロが整備されたとき、それはパリ市域内に限定された。1902年までは入市税(市内にはいってくる商品に税金がかかった)があったことや、やはりパリと周辺市町村間のあつれきがあった。今回も国/地域圏/パリ市では一枚岩でないことが鮮明である。フランスの地政学はほとんど変わっていないようでもある。

パリ外周の環状線については、計画は19世紀末にもあったようだし、アンリ・プロストは高速道路による環状線を考えた。またミテラン時代のグラン・パリ89でも環状線は考えられた。社会党の大統領の場合は、パリ周囲の左派自治体の連携をかんがえた環状線であった。今回はどうか?どことどこを結ぶか、そこに注目すれば、可決案と否決案でそれぞれどのような政党的バイアスがかかっているか、違いがわかるであろう。

|

« グラン・パリ法案反対と精神論的な建築教育論 | トップページ | ヴァルター・ベンヤミン『写真小史』とウジェーヌ・アジェ »

Paris」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/424713/34435047

この記事へのトラックバック一覧です: フランス上院もグラン・パリ法案を可決:

« グラン・パリ法案反対と精神論的な建築教育論 | トップページ | ヴァルター・ベンヤミン『写真小史』とウジェーヌ・アジェ »