グラン・パリは2012年起工?
それから「公開討論があり、数ヶ月かけて最終プロジェクトにいたる」とフルカード氏。彼に依れば当面、予算措置は必要ない。借入は2013年からで、40億ユーロの資本提供からはじまる。彼は公開討論国民委員会の主要メンバーともあっており、委員会は環状線全体を検討し、郊外の Arc Express線プロジェクトをも検討するであろう。
首都圏開発担当の閣外大臣クリスチャン・ブランによれば、着工は上記とは違って2013年12月である。
特別委員会は、国民議会が可決した法案に97カ所の訂正を加えた。法案は、上院議員によれば、野心的な「グランパリ」の「第一幕」にすぎないという。新しい交通網と、ほかのネットワークとの関連もなされるであろう。「グラン・パリ公社Société du Grand Paris (SGP)」の設立も認められるであろう。それにより新交通システムが既存のバスシステムなどと一体化し、地域圏の発展が見込まれる。
社会党はどう反応したか?イル=ド=フランス地域圏議会の議長であるジャン=ポール・ユション氏は、新しいプロジェクトは既存の都市・地域圏交通システムと競合する。とくに地域圏が主宰するイル=ド=フランス交通組合(Syndicat des transports d'IdF)は、将来のSGFと協力しなければならなくなる。新法案が公布されると、プロジェクトは停止するであろう。たとえば地域圏が提案している、パリを環状にとりかこんで走る Arc Express などは。
さらにユション氏は不満を述べる。公開討論はなされないであろう。地域圏が策定している指導シェマ(SDRIF:マスタープランのようなもの)は疎外されるであろう。なぜならイル=ド=フランス地域圏とはまったく協調しない整備がなされるからである。さらにグランパリ代表のジャン=リュク・ロラン氏は、閣外大臣ブランが提案しているパリ外周メトロの駅が、まったく一貫性がない、としている。
・・・要するに国家主導のグランパリ計画は、イル=ド=フランス地域圏からはまったく不評である。これはフランスには伝統的な、中央/地域のあらそいで、それが可視化したというようなことであろう。首都圏ではとくにそうで、19世紀と20世紀、パリは首都であることの重要性に鑑みて、市長がいなかった。グラン・パリもその重要性に鑑みて、地域圏の役割は小さくされている。むしろ地域圏独自にはやらせないための枠組みが「グラン・パリ」の本来の目的であるようにさえ思える。
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