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2010.03.01

サント=ベルナデット教会

面接のあいまに暇つぶしでみたWEB情報からである。

ヌヴェール市(フランス)にサント=ベルナデット教会というものがある。建築家クロード・パランと思想家ポール・ヴィリリオが設計。1966年に竣工した。

パランは建築家だが邦訳された『斜めの建築』にあるように、近代の合理主義者というよりは、19世紀に情念にもとづく理想社会を唱えたフーリエみたいな人である。ヴィリリオは「速度」概念を中心にすえて思想を構築するひとで、これまた近代の奇想家といったふぜいである。彼らがつくった教会堂は、マッシブなコンクリートがなるほど戦争のためのトーチカみたいだが、大胆なカンチレバーを使い、ボリュームや床を斜めに配しているところは、戦争建築らしくなく、むしろ思想の率直な表現といったところ。

この建物はだいぶ前に建築/戦争というような括りで話題になったことがあった。ヴィリリオ的側面が強調された紹介であったといえよう。

1998年にドキュメント映画が撮影された。Julien Donada 監督で「トーチカについて」と題されていた。

Eglise

2000年に歴史的建造物に指定されている。

2010年2月27日に、シャイオ宮の「建築・遺産都市」でその1998年撮影の映画が上映されるという。展覧会は5月2日までという。→Le Moniteur参照

ところで「聖ベルナデット」とはどこかできいた名であると思っていたら、思い出した。ルルドの奇跡を体験したあの聖女ベルナデットなのであった。彼女はスペイン国境の近い町ルルドで聖母マリアの姿を見、その声を聞き、それが妄想ではなく奇跡であるとカトリックに認定されたのであった。

彼女は奇跡を見たのち、このヌヴェールの修道院に移り住み、亡くなるまでそこにいた。

その修道院と、彼女の名が冠せられた教会堂のつながりは知らない。記録フィルムでは、教会堂はむしろ平凡な郊外住宅地のなかにあるようで、建設時期からすると、1960年代にスプロールした新興住宅地のコアとして構想されたのかもしれない。

ドキュメンタリーでは教会堂の内部が紹介されていた。厚い壁はふたつのレイヤーを構成して、光は間接的にはいってくる。内部はおおきく二つのカバーで覆われているようで、そのさけめがトップライトになってくる。彼岸性と、永遠性が感じられる。

ぼくは斜めや速度といった20世紀的発想よりも、こうした彼岸、永遠のほうをよりつよく感じるのではあるが。

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