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2009.12.20

萩原剛さんの講演会

土曜日は萩原さんを大学に招待しての講演会であった。

時間はたっぷりあったので、萩原さんも重厚なパワポを準備されていた。1ファイルにはおさめきれなかったので、2ファイルであった。

もちろん作品全集ではないがそれに肉薄するような厚みと深みのあるプレゼである。先週と今週でそんなことをしていただいて、ぼくも初体験であったが、こういうプレゼはなかなかよい。つまり選んで整理整頓したプレゼはもちろんわかりやすいが、選ばないプレゼは、よくわかる部分とよくわからない部分があるが、それが渾然一体となって、総合的にはよくわかるといった感じである。ぼく自身の理解というより、学生の反応をみていると、なにかがよく伝わっているのである。つまり建築家の生き様のようなものをベースに、理念や方法論が展開しているというような、なまなましいことがよく伝わっているようである。

彼が建築を構想するためにどのような知の体系を下敷きにしているかということがよくわかるのである。すなわち御茶ノ水駅プロジェクトなら房総半島と魚から山梨・長野の鳥まで構想のなかにいれてしまう。地形を読むにしてもかなり広い範囲を考える。シンケルやミースについての考察を活かして現代建築を構想するやりかたも、たんに歴史的参照ではなく、自分が取り組んでいる問題をどこまで普遍化できるか、そして広げられるか、というようなことにチャレンジしているように思えた。

彼も時代の子であることには変わりなく、ほぼ同世代のぼくにはもちろんこうしたアプローチは違和感はない。しかし今の学生たちは、周辺環境と与条件を誠実によみとってまじめにアプローチする(15年前の学生はクレージーなプロジェクトをよき大胆さとおもっていたふしがある)。しかし自分のプロジェクトの枠組みをこんなに広げられるということに驚いたはずである。

学生にとっては、組織の一員でありながら、自分を表現するということをテーマにしている彼のアプローチが新鮮に思えたはずだ。普通の学生では、面白いけれど薄給のアトリエ系、その逆の企業、といったステレオタイプしか思い浮かばないからだ。

最近の台湾や韓国でのコンペやプロジェクトは、条件のスタディとともに、ストラテジー性に注目して説明されていて、とても参考になった。

講演会と質疑応答ががおわると、ぼくの研究室で懇親会。ビールを飲みながらあれやこれや。国内事情と国際事情の格差について学生に説教する。海外では建築プロジェクトはどんどんアグレッシブかつストラテジックになっているのに、国内ではどんどんしんみりしてゆくが、学生たちがそのことに自覚していない、と萩原さんの檄がとぶ。

2次会はテムジンの餃子。石山修武、ハウスメーカー、何人かの歴史家、三菱一号館、などなどについて語る。気がつけば深夜。お疲れ様でした。ありがとうございました。

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