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2009.09.19

グラン・パリをめぐる国際シンポがポンピドゥ・センターで開催されるという

WEB版モニトゥール紙の記事(2009年9月18日12:53アップ)によると、きたる10月1日と2日、ポンピドゥ・センターで、「首都の賭」と題する国際シンポジウムが開催される。副題は「大スケールのメトロポリス----グランパリとの出会い」という。

これはサルコジ大統領の肝いりで検討されいる大パリ計画の一環であり、シンポジウムの主催者は文化省なのである。

国際的に著名な建築家たちがパネラーとして招かれている。コールハース。ペロー。アインゼンマン。メイン。チュミ。隈研吾。などなど。そうそうたる顔ぶれである。

「生産的な無秩序」というテーマも用意されていて、なんだかかつての日本都市的イメージである。もちろんエコ、地球環境、エネルギー、領土やメトロポリスといった概念、なども論じられるらしい。シンポ内容はネットで配信され(metropoles.centrepompidou.fr)、フランスの建築大学にも中継されるという。

主導的な原理はもうない、という指摘も聞いたことがある。それはともかく、アイデアをオープンに募集するというわけである。

このシンポは、今アルスナル美術館で開催されている「ヨーロッパの超高層」という展覧会とシンクロしているように思える。アメリカに遅れること100年、アジアに遅れること10年、しかし10年ほどまえからヨーロッパでも超高層を積極的に建設しようという機運が高まってきた。いまのところ構想段階のものが多いが、2020年ころには顕著多数建設されているだろうとのことである。もちろん前史がなかったわけではない。100年前ころにはマイヨ門にそのような計画があったし、1950年代から1976年までは、モンパルナス・タワーやイタリア地区など高層建設ラッシュであった。しかし1977年に都市計画の方針が転換され、開発中心から保全型へとなり、高層建築はほとんど建設できなくなった。でもそれから20年ちょっと、というわけである。

超高層/グラン・パリの平行現象の本質は、ラ・デファンス地区を考えてみれば明らかだと思われる。このパリ郊外のビジネス地区は、例外的に高層建築が集中している。ラ・デファンス地区整備混合経済会社が独立採算で開発している地区である。3セク的だが、日本と違って公金が際限なく投入されることもない。いっぽう、この地区はほとんどが外資によって成り立っている。一種の経済出島でもある。

グランパリはすべてがラ・デファンス方式になるわけではないが、基本的には、投資対象としての大パリ首都圏がいかに魅力的かをアピールするというのが背景にあるのだろうし、そのために国際的な建築家たちを集結させたのはとてもシンボリックなことである。

市場原理の導入。ところが面白いのは、いかに市場原理を導入し、外資を呼び込もうかというときに、そのシンポジウムを文化省が主催するというところである。でも、フランスの体質からすればおかしくない。伝統的に、資本主義システムに参入するときも、国家は、国営企業というかたちで(かつてのルノーのように)、自由市場に参入するのであって、国家統制システムと市場システムが併存できる仕組みをつくっている。だから混合経済というものがあって、これはいわば市場経済と社会主義的システムの混在であり、日本でいえば3セク、イギリス流にいうとPFI、といったものに近い。でも一番近いのは中国の解放経済システムなのかもしれない。

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