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2009.01.02

2010年6月11日「ランドスケープデザイン論」(2)『海・港・都市』

(講義を履修されていない方はパスしてください)

「平戸プロジェクト2010」の考え方、に戻る

10:30(524教室/2号館2階製図室)-:「ランドスケープデザイン論」(2)『海・港・都市』(土居)

「海・都市・港市」という概念の成立

網野善彦は、70~80年代、都市史研究の深化のなかで中世都市論を展開し、百姓≠農民というまったく新しい説を述べた。

日本の伝統的ランドスケープ=水田とその村落という通念はかならずしも普遍的ではなく、それは天下統一者の年貢至上主義的な、管理農業的な理念が反映されたものであったという。

網野は、それとは対照的な、管理されざる自由空間を、堺、港町、市場、などに発見した。無縁・公界・楽であった。貿易、廻船産業が生む空間は、共同体と共同体の狭間に存在する、管理されざる自由空間であり、そこに大航海時代の世界性とそのシステムのなかでの日本の位置づけを物語る。

*参考文献:網野善彦『無縁・公界・楽』平凡社1978;網野善彦・阿部謹也他『中世の風景(上)(下)』中公新書1981;網野善彦他『境界領域と交通(日本の社会史2)』岩波書店1987;網野善彦『日本中世都市の世界』ちくま学芸文庫2001;網野善彦『日本の歴史をよみなおす』ちくま学芸文庫2005;

安野眞幸(あんの・まさき)はこの論をさらに発展させ「港市」論を展開した(国際貿易都市・平戸、自由都市・長崎)。港市=間共同体な空間という枠組みのなかで、さらに宗教はたんなる内面の救済にとどまるどころか、交易活動を推進するための教えとしてきわめて現実的に機能していった。

*参考文献:安野眞幸『港市論』日本エディタスクール1992;

西和夫は、こうした海からの日本史という観点をいかして、「建築から海を見る」あるいは「海から建築を見る」という枠組みで、出雲大社、三内丸山遺跡、長崎出島、平戸オランダ商館などについて論考してきた。それは「海から見たランドスケープ」「海をみるランドスケープ」というおおきな枠組みを提供してくれる。

*参考文献:西和夫『海・建築・日本人』NHKブックス2002;西和夫『長崎出島オランダ異国事情』角川叢書2004;深沢克己『海港と文明近世フランスの港町』山川出版2002

それゆえ:
「稲作=共同体内的ランドスケープ」(日本的ランドスケープ)は、伝統的に日本の為政者たちが必要としてきたイデオロギーであったといえる。それは必然的に農本主義的、村的、土着的、定住的である。
「港・港市=間共同体的ランドスケープ」(異国的ランドスケープ)は、それに対し、伝統的に日本の為政者たちが、経済的に必要としながら、宗教的、文化的、外交的、国防的につねに注意を払いつつ、コントロールしようとし、ときには破壊しようとしたものであった。それは交易的、都市的、グローバル、流動的、交通的である。

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■西和夫『海・建築・日本人』(NHKブックス2002)のなかの、平戸にかんする章を読んで、歴史的な経緯、海と都市との関係、を知る。

KW:「平戸オランダ商館復原。平戸大橋による地続き化。薄れた海の意識。海を見る城。船入りの痕跡。宮之前の波止。城と藩邸。「海を渡った教会」。

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■西和夫『平戸の町並み』(日本ナショナルトラスト2003)で、歴史的な町並みや海との関連を知る。

・町並みの特徴(瓦葺き、切妻屋根、平入り、揚げ戸、雨戸、出桁(だしげた)形式の庇、2階の手摺、バンコ(折り畳みの台)、など)

・町屋の間取りの特徴(通りニワ、ミセ、座敷、テンガイ(吹き抜け)、など)

・海の町(船入、藩主の乗船場、海に降りる階段、藩主別邸には船で、海を渡った教会(司祭は「カコー船」で移動、教会堂を船で移築)など)

・埋立て(築地町1796-1804年、旧船入、現公会堂、交流広場、など)

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講義レポート課題2:授業の内容を、A4×1枚、1600字ていどにまとめてください。適宜図版(1図版あたり50KBに縮小のこと)を添付のこと。

添付ファイル(PDF形式)容量: 500KB以内

件名=添付ファイル名=レポートヘッダの様式:

1DS12345G塩原芸子-100611L論2(海と都市)

メール添付送信先: 土居・福島

〆切;6月18日

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