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2008.12.16

時差ぼけウイークと日仏建築シンポ

時差ぼけはつらい。

知覚するものに現実感が欠けている。人のことばが、たんなる音に感じられる。意味が即座に伝わってこない。音を、言葉に、さらに意味に翻訳しなければならない。文字がインクのシミに見える。これまた解読しなければならない。「う~ん、よっこいしょ」といった感じで翻訳・解読する。普通は、知覚すると同時に意味は伝わっているのだが。現実=意味がベールに覆われている。離人症と同じなのです。つらい。

疲労感、睡魔、というのも通常とひと味違う。ふつうは眠るとき、ああ眠くなってきたという実感があって、つまりたとえ短くとも移行期があって、眠る。しかし時差ぼけの居眠りは、電気のスイッチをオフにするように、突然襲う。「プチッ」といって意識が消え、「パッ」とよみがえる。電車にのって座っていると、乗り過ごしそうになる。だから目的地まで立ったままでいる。こんなとき、ぜったい車の運転はしてはいけない。

今まで、サウナ、フィットネス、ストレッチ、サプリ、とにかくがんばる、いろいろやったけれど全部効果なし。年に地球を何(十)周もする人がいるけれど、よっぽど時差に強いのだろうね。ぼくがやったら2ヶ月で過労死でしょうな。

でもいちばんいけないのは、なにもしないこと。一番ひどかったのは、出張帰りのあと休暇だった場合。自宅でごろごろだと、2週間はぼける。

今回は日仏建築シンポで京都にいった。Nさんのご招待である。

一昔前とはちがって、日仏双方とも層が厚くなり、それぞれの「ノリ」もわかってきて、率直にいろいろいいながら、ときに手厳しく、でも和気あいあいで、いい感じである。

コメンテーターのM先輩は、発表者の内容をどんどん広げるようなコメント。さすが。ぼくから見た彼は、かつては若手の代表者であったが、今では、ご自身の体験そのものまで今の若手に伝えるべき立場になってきている。いろいろと世代的義務も抱えていらっしゃるようであるが、ますます頑張ってほしい。

・・・こんなふうに緊張感をもって一日中講演を聴いて、ホテルにもどってプールで一泳ぎ(ぼくのこだわり)して、仕事のメールして、充実感をもってビール飲んで、12時に爆睡して、そこまではいいけれど、なんで2時に「ぱっちり」と目がさめるの?

ぼくの発表はオーラス。日本建築という概念の誕生、フランス建築という概念の誕生、をそれぞれ論じ、比較するという意欲的なもの(意欲しました!)。おかげさまでなかなか好評でした。フランスの研究者からの熱いまなざしも伝わってきた。この内容はいずれ報告書となって刊行されるでしょう。こうご期待。

フランス人たちの発表を聞いての感想。もちろんひらがな/漢字文化のハードルは高いのだけれど、もはやオリエンタリズム的距離はなく、それぞれ堅実な問題設定という感じである。ただ根本的に違うのは、彼らの大陸合理主義的な本質と、日本人の経験主義的アプローチ。こういうのは永遠の平行線であろう。最初に定義がないとなにも始まらない彼らと、とっかかりはテキトーでもすこしずつ骨格をつくってゆく日本人の違い。こうした違いは、調停するより、もっと際だたせたほうがよいのであろう。

懇親会は、フランス人研究者と名刺交換とか、日本人研究者とも初対面の挨拶とか、なんといいますか、これは社会復帰ですかね。アルコールがどんどんはいって、時差ぼけとの相乗効果でかなり危なくなってきたので、一次会だけでホテルにもどる。でも元気な人びとは、2次会、3次会と、朝5時まで楽しんだらしい。世間ならおじいちゃんの世代なのだけれどね。フランス人たちも日本モードに切り替えて楽しむすべを知っているようだ。

翌日は待庵の見学。日仏の建築専門家たち17名が押し寄せる。まえから見たかった名作であるが、それを語る資格はぼくにはなさそうだ。加藤先生のご説明を直立不動で拝聴する。こうした名作をコアにして成立するコミュニティというものがある。ぼくは作品そのもの、そして作品が成立させている世界の傍観者にしかすぎない。

京都から新幹線で帰宅。翌日から大学で、書類書きと通常の仕事。

さて今日は支部研の梗概を仕上げて、ほかにたまった書類をしあげて、・・・・時差ぼけもだいぶ解消したな、と思ったら、喉がひりひりする。こんどはカゼです。もう好きにしてください。

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