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2008.12.07

Archilab2008とオルレアン大聖堂

旅もそろそろ終わり。今回は余裕をもたせ、ストレスレスのさわやかな旅となった。いいかげん歳だからさずがに中庸を考えるようになった。

とはいえ週末と夜はいろいろみたいもの。思い出すままにランダムに書きます。

オルレアンの《Archilab2008》展は、やや期待はずれ。パリから半日の日帰りで、時間も損しなかったし、まあいいか。

もちろん市町村、地方、国というこれまでのヒエラルキーの上位に、さらにヨーロッパが追加され、プロジェクトの枠組みが変わったし、ヨーロッパの文脈のなかで構想しているのももちろんわかる。また国ごとだと、予算、年度、期待成果、がはじめから計算ずみということになっている「計画」でよいのだが、ヨーロッパという枠組みだと都市間競争(「ヨーロッパ文化首都」など)もあって、自律性のまとまりである都市や地域ごとに「ストラテジー」(戦略)をたてなければならないのもわかる。インターレグなるシステム、ヨーロッパがプロジェクトを喚起し、評価し、予算措置を講じる主体であることもよくわかっております。

しかし展示されたプロジェクトは面白くはなかった。もちろん建築家たちが構想するヨーロッパ全体像とか、多様なものを俯瞰できる視点があるとか、それはよかった。もうひとつひとつのプロジェクトは、いかに個々にすばらしくとも、そのすばらしさは多くの変数のうちのひとつになってしまう。むしろ「俯瞰的視線」が、傍観者もすでに共有していることが肝心であるようです。つまりこうすることによって、新たなヨーロッパ像そのものをつくっているようです。

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とはえ展示設営はよかった。多くの色が使われながら、まるで虹のように、そっとグラデーションが示されている。これは古い教会を利用したもの。教会だから身廊と、その両側の側廊からなる。展示はその身廊にすぽっと内蔵されたかたち。側廊からみると、アーチでできたスケルトンに、パネルやななんかがインフィルされたように見える。

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パリに戻る途中で、オルレアン大聖堂を見る。

堂内で老人に声をかけられた。彼は語る語る。・・・・この教会堂は長さ120メートル、天井の高さ38メートル。着工から完成まで数百年もかかった。だからあそこではまっすぐであるべきリブが歪んでいるし、壁も、柱も、じつは垂直ではない。長い建設の歴史のなかで、とくにアンリ4世と、ルイ14世が関わったことは、私たちの誇りである。それにたいしてプロテスタントたちは!聖堂をとことん破壊しようとした。傷跡はまだ残っている。あの入口飾りのペディメントもそう。すっかり装飾がそぎ落とされているだろう。修復されたこっちと比べてみたまえ。(この像は聖ピエトロですかね?)いやいやそうではない。この種の図像は、当の教会を創建した最初の聖人か聖職者なのだよ。それにしてもさっき言った王たちは、プロテスタントが痛めた傷を、修復してくれた。ステンドグラスも、昔のものではない。色はすぐに変色してしまった。オルレアンでは彩色の専門家がいない。現在あるのは、薔薇窓で有名なシャルトルの職人がきてつくってくれたのさ・・・・・。云々。

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京都の人が応仁の乱を語るように、老人はプロテスタントによる破壊を語っていた。おそらく名物爺さんなのであろう。でも基本はおさえた語りである。感謝。

破壊と修復という構図では、日本では戦争や高度経済成長が主な悪役だが、フランスではプロテスタント、フランス革命なのである。

ところでゴシックもまた、当初はパリ盆地でできた地方様式であったが、すぐにヨーロッパ内における国際様式となり、普遍化した。中世の建築様式だが、これだって立派なヨーロッパ・プロジェクトである。なんてことを考えたら、EU的なものは急に始まったのではない。とはいえ、過去にできた統一ヨーロッパ像にまで言及するのはどうかな、です。

つまりEUというのは歴史的には、こうした古代ローマ帝国や、ナポレオンや、第三帝国に比較されることもできるのでしょうが、現在においては、知っていてあえてそうした過去のヨーロッパモデルには言及しないことが、不文律になているようです。

おそらく何十年もして、EUがさらに客観的に回顧されたとき、もっと昔のヨーロッパ・モデルと比較して語られるのであろうなあ。

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