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2008.05.14

NYのアダプティヴ・リユースはテイトそっくりなんだよね

AR誌サイトの2008年5月13日付の記事。「ドミノ砂糖プラントについての厳しい論争」。NYのアダプティブ・リユースの事例です。ロンドンのテイト・モダンとよく似ています。

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抄訳ですが・・・・

「アダプティヴ・リユース」や「ロフト・リビング」が古い産業施設をトレンディなコンドミニアムに改装するデベロッパーにとって人気のあるキャッチ・フレーズとなっている(注:すでに皮肉な態度がただよっていますが・・・)。しかしNYのブルックリンにある「ドミノ砂糖プラント」を居住施設にかえる計画については「拙速はだめ」と反対の声がとても大きい。NY市の「ランドマーク保存委員会LPC」は公聴会を開催した。Beyer Blinder Belle Architects は、25階建てガラス屋階を、ランドマークであった精糖工場の上に附加することを提案していたが、反対の声がおおきく、提案は見直しとなった。

NYを拠点とする歴史地区保存会社は、「精糖施設」(詳細省略)の上にできるだけ多くの住居を詰め込めこむという仕事を受けている。旧施設はロマネスク・リバイバルの建築(注:アメリカらしい)で、敷地はウイリアムバーグの川岸にあった旧工業団地であった。マスタープランはラファエル・ヴィニョリ・アーキテクツで、高層住居、店舗空間、公園を担当。全2200戸、そのうち30%はアフォーダブル。

反対派は活発なロビー活動をつづけている。歴史的建造物への脅威であるとか。このドミノ砂糖プラントは1884年開業、2003年まで操業。2004年に施設は、Community Preservation Corporation傘下にある営利組織CPCリソースに売却された。当初は建物をとりこわして住居を建設するというプランであったが、すぐ却下された。開発側にはアイザック・カーンというメガ・デベロッパーがいて、彼は長いことブルックリンの保存主義者たちの敵であった。

工業団地はまだランドマークの身分は与えられていないが、「ランドマーク保存委員会LPC」はそれに準ずる選定をしたので、改築のためには、11人の委員会の過半数の合意が必要である。5月4日のヒアリングでは、Beyer Blinder Belle の計画を支持しているのは2名だけである。ガラスの箱は大きすぎ、施設の産業遺産としての面影を損ねるとするのが支配的な意見であった。また「ドミノ砂糖プラント」の看板という長い間イースト・リバーの景観を支配してきたものを計画に盛り込めなかったのも残念である。

「ランドマーク保存委員会LPC」によれば改定案が出されれれば2回目の公聴会を開催する。デベロッパーは2ヶ月以内に再提出するとか。

・・・アメリカでは、歴史地区保存はすでにディベロッパーが保存委員会と協議するものにかわっている。基本はビジネス・ベースである。新聞報道からは、たとえば委員会が実際はどんなメンバーで、なんの利害を代表していて、どういう思想をもっているか、わからない。ただ開発も、保存も、それぞれしっかりした法人格が代表している点で、利害の対立を透明にしている点はよろしいのでは。

なおこのデザインはあきらかにロンドンのテイト・モダンの真似である。ウオーターフロント、工場、煙突、上にガラスの箱を増築する手法、すべて似ている。そういう意味では、ドミノ精糖工場的なランドマークとすべきところを、ロンドン的な世界的有名ランドスケープにしようとしたところにデザインのあざとさがあるといえる。逆にいえばテイトのデザインはそれほど良かった、ということか。

アメリカの保存を賞賛する声も多いが、(所詮は)デベロッパーの仕事であるということを問題にする人は少ないのではないか。アダプティヴ・リユースだとか、アフォーダブルとか、いわゆるデヴェロッパー的言説が日本にはいるとなにか先進的で学問的な言葉になってしまうのだけれど。所詮は営利活動であるものに社会的正義というフレームを与えるための言葉がこれらです。まあ使ってもいいと思いますが。生理的にちょっとやだよね、くらいの感受性はもちたいなあ。

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