« ボルドーの都市整備プロジェクトについてだらだら書く | トップページ | 『村上ラヂオ』を読んじゃった。 »

2008.05.05

ボルドー歴史地区のストラテジーだが、今日的というよりまさに歴史的につみあげてきた制度や仕組みがみてとれる

またもやボルドー市公式サイトからのだらだら書き写し。こんどは歴史的中心地区について。

結論先取り。

ボルドーでも都市の空洞化の危機に瀕していることは、日本の地方都市と同じである。都心の住居はほとんど賃貸であり、それだけ「公共財」としてとらえやすい状況だとも、逆に言える。家主と自治体は協同して維持につとめる。

都市計画の人びとは「保全」などといっている。しかし歴史的街区の「保全」だろうが、保存だろうが、その組織や方式をよくよくみてゆくと、19世紀や20世紀初頭の制度がまだまだ生きていることがわかる。パートナーシップなどと呼ばれるものも、都市整備の長い歴史をみないとよくわからない。都市には歴史があるが、政策・制度そのものの歴史性についての理解が必要であろう。

官民協同体制は、今日パートナーシップなどといわれるはるか以前から仕組みがある。それはそもそも都市とはなにか?なんであったか?という歴史と認識の日仏相違までさかのぼるであろう。

さてWEBから。

ボルドー市の歴史的中心地区は203ヘクタール。活力、共生、居住を目的に、まず地区構造化(トラム、広場再整備、環状道路、河岸整備)、歴史的都市と現代的生活様式の両立、をまざす。さらにアキテーヌ地域圏の首都としての機能、居住の快適性、日常生活の質、街区ごとのアイデンティティを確立する。

市とパートナーは、その歴史的中心地区のための目標を定めた。
(1)生活の質と都市の快適さを優遇する。
(2)経済的、文化的にしっかり輝くようにする。
(3)遺産地区のなかに現代住居を提供する。

歴史地区の現状:

環状道路とガロンヌ川の区域。203ヘクタール。市行政域の4.1%。強いカードも弱いカードもある。
・雇用30000人(うち市は2000人)をもつ経済
・都市域人口の70%は月に一度はここにくる。
・ボルドー市人口13%にあたる2万7700人の人口。多くの学生。40年間、減少傾向。
・2万3500戸の住居。住居市場は不均衡。85%は賃貸。65%は狭小。12%は質的に良好ではない。20%は空き室。

市はこうした与件に対し、2002~2010の8年にわたる計画を実施中である。それは住宅ストックそのものの刷新と充実。
・2000戸を改修。
・建物地上階の、住居以外の機能をみたす部分を、再整備。5000㎡を予定。
・パーキングの設置・改修。330台分。
・近隣施設の設置・改修。
・公共空間や生活道路の改修。

財源:ボルドー市、ボルドー都市共同体、ANAH, CDC, 県議会、ヨーロッパ、民間。

開発主体:ボルドー市、InCité、ボルドー都市共同体。

もっとも反対も根強い。家賃を上昇させ、経済的弱者を追い出すからである。800人の署名を集めた地主・間借人の団体が、精力的に反対活動をつづけている。

記事だけではわかりにくいので、注釈。こちらのほうが本質を語っているかも。

*ANAH:「住居改善国立協会」。リフォームの財政支援などをおこなう。

*CDC(Caisse des dépôts et consignations):「供託金庫」。1816年に設立。国会の直下に置かれている。国家予算とは独立した資金を、国家が管理するというユニークな金庫。しかしフランスの社会的ハウジングは、この金庫から融資された資金で、地方自治体(おもに県)が建設したという、歴史的事実を忘れてはならない。

*InCité Bordeaux:混合経済会社。主要株主はボルドー市、ボルドー都市共同体、供託金庫、ボルドー商工業会議所。そのミッションは歴史的都心部における住宅整備と都市更新。整備計画についての契約は2002年にサインされた。2010年までに、3万平米を買い取り、630戸を提供する。老朽化した住居の目録をつくり、買い取り、改修し、開発業者に転売する。また老朽化した住居を改修したい不動産所有者に財政支援もする。このように合計930戸が改修されるであろう。すなわち、これは反開発的・保全的な政策ではない。そうではなく、市場原理、民間との共生、を守りながら、積極的に、買収、改修、転売することで、利益を上げつつ地区を改善してゆく。つまり地区の歴史性や環境や空間のいわゆる「保全」にとどまらず、経済原理をまもり、むしろ積極的に、住宅マーケット・ストックそのものの維持と活性化を、なしとげるものである。これは大きな政府によるばらまきではなく、いかにもフランス的な、実績のある、官民協力のやりかたを踏襲するものである。日本だと民業圧迫なんてことになりかねない。

(つづく)

|

« ボルドーの都市整備プロジェクトについてだらだら書く | トップページ | 『村上ラヂオ』を読んじゃった。 »

Bordeaux」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/424713/20743748

この記事へのトラックバック一覧です: ボルドー歴史地区のストラテジーだが、今日的というよりまさに歴史的につみあげてきた制度や仕組みがみてとれる:

« ボルドーの都市整備プロジェクトについてだらだら書く | トップページ | 『村上ラヂオ』を読んじゃった。 »