« レンヌ市がリードする都市会議(CVAA) | トップページ | NYのアダプティヴ・リユースはテイトそっくりなんだよね »

2008.05.13

フランスの建築雑誌L'Architecture d'Aujourdhuiの危機

2008年5月6日付の情報。

フランスの建築雑誌で『AA』(L'Architecture d'Aujourdhui 今日の建築)と『T&A』(Techniques& Architecture 技術と建築)という2大有名雑誌がある。おなじ出版社からでている。そこのスタッフたちが声明を発表し、懸念を訴えている。

Edition Jean-Michel Placeというのが上記2誌の出版元であるが、2008年4月24日、パリ商事裁判所による精算手続きをうけた。スタッフたちは「2誌が廃刊になるなど想像できない。長い歴史を誇る2誌は、国内外の建築家たちの情報、育成にふかくかかわっている。この状況にたいへん憂慮している編集チームは、定期購読者、一般読者、関係専門家たち(地方公共団体、公共・民間建築の建築主、都市計画家、ランドスケープアーキテクト、デザイナーなど)にたいし、編集チームとしては2誌の新しい未来を構築し、専門的知識や技能を独立性、それぞれのアイデンティティ、のためにささげ、高品質の編集プロジェクトを探求してゆくことを続けることを、お知らせる」と表明している。たとえ会社がつぶれてもなんとかして出版はつづけるぞ、みたいなことだろうか。

インターネットが出現したころ、英語の建築雑誌も淘汰されたので、いまさらかもしれないが、フランスもこうなるとすこし考えますね。老舗デパートもつぶれたし。

もっとも20世紀的メディアの運命をリアルタイムで追うことができるのもインターネット時代だからであろう。

つらつら思い出すに、19世紀はおもにドローイングや版画を中心とした雑誌メディアの時代、20世紀は写真を中心にすえた建築雑誌メディアの時代であったといえよう。このフランスの雑誌もそうだし、ル・コルビュジエの『エスプリ・ヌーボー』、ついでにいえば日本の『国際建築』や『新建築』などもそうである。写真=雑誌=メディアの世紀であった。

日本の建築雑誌の生き残りというか、存在意義はまだまだあるだろうし、それは編集行為の文化性、社主の個性、審級性、よくもわるくもセクト性、サロン性、しかいもっと評価されていいアーカイブ性、継続性などいろいろ。ぼくはすでに雑誌メディアの当事者たちから遠いところに住んで長いから、空気を読めるような立場にない。でもたとえばブログなどで、レスポンスのいい情報提供、あるいは意見提供などがおこなわれ、その活力に魅了されはじめると、わからないね。悪魔的にいえば、古かった建設業界がほんとうにメディアにめざめるとか、これまた古かった大学研究者がほんとうに目覚めちゃったりすればね。

写真がメディアとなって支配的になった同時代に、構成主義などの活動が活発になるのは、当然といえば当然か。つまり機械仕掛けのような舞台装置、パピエコレの手法もそういえば機械インスピレーションだ。つまり写真、写真機のメカニズムそのものが、絞りを決め、シャッタースピードを調節し、対象をどんどん切り取ってゆく、そんな機械的な行為そのものが、被写体となる。写真=メディア=雑誌とは、考えてもみれば、写真が写真機的メカニズムを写す、機械が機械を自己愛的にプリントしてゆく、対象と主体が相似的になってゆく、そうしたナルシシズムの構造であったのは明らかだ。

ちなみにドローイングや版画だけがメディアであったとしたら、デステイルやロシアアバンギャルドの作品紹介はずいぶん間の抜けたものとなっていたであろう。メディアはそれにふさわしい対象をもとめる。この意味でもメディアは権力である。

さて建築メディアはどうなってゆくのだろうか。21世紀なのだから。

シナリオはふたつ。

(1)電子メディアは情報インフラ、情報OSとなり、このプラットフォームの上で、旧来のメディア、口コミ、マスコミ、雑誌、単行本、展覧会は生き延びてゆく。もちろん弱小化とか周縁化はありうるとして。

(2)電子メディアが圧倒的に支配し、旧メディアを代替する。旧メディアは伝統芸能として、博物館行きになる。

いすれにせよ、19世紀(版画・ドローイング)、20世紀(写真)、21世紀(IT?)というように建築メディアが色分けできれば歴史家としては楽しいんですけどね。

・・・・メディアは専門ではないので、このくらいにいたしましょう。(なにしろ息抜きは30分までと自己規制しないと、怠惰なぼくは本業に戻らないので)。

|

« レンヌ市がリードする都市会議(CVAA) | トップページ | NYのアダプティヴ・リユースはテイトそっくりなんだよね »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/424713/20927418

この記事へのトラックバック一覧です: フランスの建築雑誌L'Architecture d'Aujourdhuiの危機:

« レンヌ市がリードする都市会議(CVAA) | トップページ | NYのアダプティヴ・リユースはテイトそっくりなんだよね »