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2008.05.11

レンヌ市がリードする都市会議(CVAA)

CVAA(Conférence des Villes de l'Arc-Atlantique)、英語ではCAAC(Conference of Atlantic Arc Cities) を「大西洋弧状都市会議」とでも訳そうかな。むりにarcを訳さなくともいいかもしれませんが。これは2000年にレンヌ市が音頭をとって創設した都市会議である。当初は「西岸大都市ネットワーク Réseau des Grandes Villes de l'Ouest 」と呼んでいた。参加都市はAngers, Brest, Le Mans, Nantes, Rennesであった。現在、アイルランド、連合王国(イギリス)、フランス、スペイン、ポルトガルの5カ国の40以上の都市、都市ネットワークがメンバーとなっている。まだ都市連合とまではいえないだろうが、ヨーロッパでさまざまに構想されてきた都市ネットワークのひとつです。

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なぜこれに注目するかというと、以前、別件でレンヌに出張したとき、レンヌ大学出版会の叢書などをあさったり、図書館・書店めぐりをしたのですが、あきらかに大西洋沿岸文化圏、あるいはヨーロッパ大陸西端文化圏の構想があって、その中で個々の研究が位置づけられているように感じられたからです。

またラ・ロシェルについてすでに書いたように、大陸的・内陸的ロジックと、海洋的・港湾的ロジックはつねに対立するようです。レンヌ市は、ヨーロッパの拡大にともない、自分たちが辺境化することに危機感をいだいていることは明らかです。そこで沿大西洋というネットワークをつくって共闘しようとしています。歴史的に見れば、それはむしろ自然なことと思えます。

歴史的にはどうかというと、ローマ帝国時代末期より、ブリテン島からの移民が盛んであったし、彼らはブレイズ語をつたえた。グレイト・ブリテインにたいし、ブルターニュは、リトル・ブリテインである。イギリスとの関係は深い。1532年にフランス王国に「併合」されるが、独立精神はつねに旺盛であった。・・・このようにレンヌ市にとって、フランス、大陸、とは違う枠組みというものは、つねに探求すべきものなのでした。

またこれは必然的に海のネットワークです。ぼくが大学の設計演習としてやらせている「平戸プロジェクト」とも内容はつながっています。

レンヌ市サイトによると、2008年5月5日では、同年4月30日にスペインのサンティアゴ=デ=コンポステラで執行部の会合が開催され、サステイナブル・デブロップメントについての新しいストラテジーが協議されたとある。論点はふたつ。

(1)憲章。これは6月のサン=セバスティアンで総会が開催されるためである。総会では『サステイナブル都市発展憲章 Charte de développement urbain durable』が採択される予定。その準備というわけだ。

(2)文化事業。ミュージアム構想。2009年をにらんでの組織検討。文化部会では、ヨーロッパ・ミュージアムとパートナーシップを保った「大西洋弧状ミュージアム Musées de l'Arc Atlantique」をネットワーク型に展開する構想がある。そこでの展覧会としては「大西洋都市、グローバル化の港」などが企画されている。

同サイト2008年5月8日の記事によれば、上記4月30日の会合が報道されている。憲章の内容が、たんなる意志表明にとどまらず、具体的な行動目標を掲げている、という内容。文化・遺産作業部会も上記展覧会について検討した。レンヌ市が音頭をとっていることだけ、彼らのにとっっては重要。ルネサンスから現在までの、商業、人的交流、文化交流を扱う。つまり大西洋弧状ネットワークがいかに歴史的な実体であったかを示そうとしている。

CVAAのサイトもあって、いろいろ書かれています。

CVAAの目的。(1)ヨーロッパ内の地域間不均衡の解消、バランスの回復、とくに周辺部の活性化。(2)リージョン発展の核としての都市(ヨーロッパ人口の80%は都市人口)を認識する、(3)都市会議参加国が共有できる、経済・社会・環境の問題における野心的目標を、設定する。

参加都市は、フランスではレンヌ、ボルドー、ナントなど。イギリスではカーディフ、グラスゴーなど。地図からもわかるように、周辺都市連合ですね。サイトではさらに、国ごとに、地方行政システムの相違が説明されています。

こうした枠組みで、運輸・交通、環境、都市整備、経済発展、文化・遺産などを論じ、目標を設定してゆくようです。

などなど。残念ながらCVAAサイトはまだ充実しているとはいえない。

継続調査とします。

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