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2008.04.22

サルコも「グラン・パリ」構想をもっている

ミッテランの「グラン・パリ」構想についてすでに回想した。20年以上してサルコジ大統領もおなじタイトルの計画をたちあげた。見通しは暗いようだ。左右それぞれ「大パリ構想」には賛成する理由も、反対する理由もある。歴史的にそうだ。

もしこの「大パリ構想」が実現すれば、ナポレオン3世が1860年ころにおこなったパリ市域拡大(周辺市町村統合)いらいの大改革となるであろう。パリの発展を考えてのことであったが、同時に、革新戦力の牙城である周辺市町村の切り崩しという政治的ねらいもあった。しかし彼は19世紀的大パリが実現すると、そのなかで労働者階級のための政策を展開した。

サルコジはかなりデコボコのある市町村の差をなくそうとしている。この点ではナポレオン3世に近いといえる。

ナポレオン3世にとってはなかったが、サルコジにとっては重大な新課題。それはリージョン(地域圏)の存在である。もはや国家/都市の二項対立ではなく、その中間に介在するリージョン。あるいは特権的でありすぎたパリを、いかにその他に結びつけてゆくか、という歴史的?大事業である。都市共同体、広域行政はパリ以外ではちゃんとできている。パリはその例外性ゆえに、まとめにくい。

パリと周辺自治体は、経済的、社会的、文化的にまったくバラバラであり、統合は困難であろうが、それをすればメリットもあるだろう。左右それぞれにメリット・デメリットがあるようだ。しかし政党の支持基盤かどうか、というのが隠れたハードルではないか。

WEB版ル・モンド(4月19日13:50)の記事を抄訳してみよう。

グラン・パリ計画の撤退か?自治体選挙における交代いらい、大統領府とパリ右派は、イル=ド=フランスの中心地区をきりとって、そこを新しい行政区画とすることをあきらめたようである。

この地域の経済的求心力と交通網を展開するために、サルコジはパリ都市圏スケールの「都市共同体communauté urbaine(注:複数の市町村が結ぶ都市計画・行政協定であり、ボルドーなどすでに例がある。日本の広域行政に相等)」を創設するという案をすでに2007年6月に表明している。

国家元首の頭を占めているのは、人口650万の区域のなかに相互主義的財政をきづくという行政的解決を構想することである。この区域は、自治体間の貧富の差がきわめて大きい。それとともに、パリは専門職からの税収が大きく、ラ・デファンスはオフィス街ということで税収が大きいという利点がある。課題としては、市長や県の個人的利害を調節することである。

右派は地域圏での市町村・カントン選挙で議席を失った。サルコジ氏にとっては逆風である。オ=ド=セーヌ県の知事や、小環状帯(パリ直近の市町村)の市長たちにからその特権を奪うのはますます難しくなった。メトロポリスの中心はパリだ。そのパリの市長は社会党ベルトラン・ドラヌエだ。県議会における多数派の議長であるロジェ・カルチは「グラン・パリが、首都がその権力を周辺の市町村に及ぼすだけというなら、反対だ」と4月17日にすでにのべている。

カルチは2010年の地方選に立候補しているが、2007年12月にすでに「決定権のあるメトロポリス構想」(注:メトロポリスがひとつの自治体として自己決定権があるということ)を出していた。彼は選挙の前日、メトロポリス規模の市町村「混合組合」という案を擁護していた。今日、彼は、イル=ド=フランス地域の組織大改変を加速するためには、「国家がより力強く、あらたに推進力を発揮し、財政投資する」というプロセスが必要だとする。新しい「ガバナンス」というよりは、クリスチャン・ブランの方針に望みをかける。ブランは首都圏発展担当の閣外大臣であるが、夏までには首都圏を「統合するための10あまりの大プロジェクト」を決定するとしている。

グラン・パリをなりふりかまわず擁護する右派もいる。セーヌ=サン=ドニ県の上院議員(UMP)フィリップ・ダリエは、4月上旬に上院に提出したレポートのなかで、パリとその隣接3県(オ=ド=セーヌ県、セーヌ=サン=ドニ県、ヴァル=ド=マルヌ県)を融合することを提案している。「国はとっくに予算不足だ」と彼は嘆く。予算捻出の唯一の方法は、はしご状の制度を廃止することだ。ダリエは自分ひとりではないと確信する。4月14日、県議会で彼の発言を聞いた、100人あまりの市長、県会議員、UMP議員のなかで、明確な指示を表明したものはひとりもいなかった。

左派もグラン・パリ構想については分裂している。首都圏の緑の党と共産主義者たちは、パリ周囲の「マーガレットの花弁」モデルの大「地方自治体相互性」(注:従来ばらばらであった市町村のつながりを深めようということ)をふたたび強化することを訴えている。県議会における社会党党首のジャン=ポール・プランチュは4月17日、県会議員たちのまえで、メトロポリスが地域圏から孤立した場合のリスクを示した専門家レポートを擁護した。パリやオ=ド=セーヌ県の税収が増えるとしても、都市圏はその交通、公共住宅、研究拠点のために単独で財政出動することができないという。したがって地域圏(リージョン)の財政支援が必要なのだ。ユション氏はグラン・パリにかんする「安易なスローガンに固執した論争は終わりである」としている。

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