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2008.04.08

パリのラ・ヴィレット公園がたいへんなことになっているらしい

WEB版ルモンド(現地時間4月8日14時26分)によると、ラ・ヴィレット公園の大改造プロジェクトがもちあがっているらしい。

まずは記事の抄訳。

開園25年のラ・ヴィレット公園は、パリ最大規模の公園施設である。55ヘクタール。科学博物館(注:旧精肉施設の改装)。音楽院(注:ポルツァンパルク設計)。大市場建物(注:19世紀)。これが前例のない大改修となる。2012年末にはアクセス、施設、人の流れ、訪問者の性格まで、根本的に変わるであろう。公園園長ジャック・マルシアルは「わたしたちのミッションを見直すべきであろう」。

南にはパリ・フィルハーモニーの建物。2万㎡。ジャン・ヌーヴェル設計。北では科学博物館の第四スパン、1986年から入居者がいなかった部分に、商業複合施設がはいる。映画館16室、店舗1万1000㎡。科学博物館も改修され、アクセスなどが変更され、広場、玄関ホールは改修、スタッフ専用の建物も新築される。公園施設と大市場(Grande Halle)については、「エコロジー」建築が建てられる。

アクセス。トラム新線が建設され、3つの駅から公園にはアクセスされる。パンタン門、ラ・ヴィレット門、そしてその中間の、パンタン・コミューン(市町村)からのアクセスとなるもの。最後の駅は、このコミューンからのアクセスとなるもの。また2009年にはフラン・ムーラン・ド・パリが改修されそこにパリ国立銀行の勤労者がはいるが、彼らにとってもアクセスとなる。

公園施設の改装には3億ユーロが計上されている。たいへんな現場である。さまざまな工事の日程調節、企業組織をどう入居させるか、そしてとりわけ公園の利用者たちの便宜をかんがえねばならない。施設のひとつでも閉館するなどとんでもない。だから駐車場もまた問題だ。

フィルハーモニーの敷地は、今の屋外駐車場であり、ここは600台収容できる。南の音楽院には300台収容、これでは足りない。音楽院だけでなく、大市場、ゼニット(多目的ホール)にくる人もいるのだ。なので科学博物館と契約が結ばれた。そこには1500台収容なので、ゼニットの客にも使わせるのだ。ゼニットは毎年80万人がくるのだから。

以上は経過措置だが、そこには最終計画が予見されねばならない。渋滞もおこるだろう。そくにペリフェリク大通りのパンタン門。とくにコンサートの夜。全体計画はこれを計算に入れねばならない。

2012年、科学博物館とゼニットにくる利用者は公園の北側に駐車する。大市場、音楽院、フィルハーモニーへの客は南側に駐車。

道路網は問題山積。パンタン門はよくても、ラ・ヴィレットはどうか。云々。

人の流れは公園内に及ぶ。運河をまたぐ通路は容易には見つからない。云々。運河に浮かぶ橋を要する案も。

「トラムと呼ばれる希望」。車でなくてトラムで来てくれれば。しかしクラシックを聴きに来る人びとはトラムにのるか?(注:クラシックはお金持ち、トラムはむしろ貧乏人という社会的格差が背景にある)。云々。

社会的問題。地域の人びと。公園を訪問する何百万人もの人びと。ジャック・マルシアルは「それがラ・ヴィレットなんです。ソーシャル・ミクストこそがここの存在理由なんです」というが。

・・・・ということらしい。大プロジェクトはいいですね。

これはミッテランの遺産である。この社会党の大統領は、パリ東部=労働者の地区という構図のなかで、まさに東北部に位置する、運河がつながっている、市場、精肉施設、倉庫、工場があった産業施設を、公園にかえ、パリの魅力あるれる場所のひとつにしようとする。

ミッテランは80年代後半にグレイター・ロンドン・プランを模範にした「グラン・パリ」構想を世に問うた。これは都市的というより社会的なものである。つまりパリ市内=ブルジョワ・保守的、郊外=労働者・革新的という構図のなかで、両者の統合をねがったのであった。それは歴代の保守政権が、伝統的に、パリ市内と郊外の分断をはかってきたことへのアンチテーゼでもあった。

トラムはそのグラン・パリ計画の目玉でもあった。しかし今日、トラムはやはり低所得者の足という位置づけが事実上、できているのではないか。なかなか快適で、死角がないので犯罪も起こりにくいのは確かであるが。

ラ・ヴィレットは市内と郊外を結ぶ地理的位置にある。またサン=マルタン運河など、物資をとおく郊外、地方からパリに供給してきた要所でもあった。ラ・ヴィレットは、ブルジョワ的視点からはインフラとして蔑まされたが、今日、公園、科学施設、文化施設として、その要所としての重要性を、ちがう意味で強調してきている。

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