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2008.04.24

バーチャル朝刊によれば(さよならレム、こんにちはザハ)

ゼミのあと、ひさしぶりに学生と飲んだ。フランス人留学生がいるが、ゼミでは日本人学生が大部分だから英語で会話し、個人的にはフランス語で話す。アルコールも、ビール、ワイン、焼酎とチャンポン、言葉も日英仏とチャンポンである。

ダニエル・ビュレンのパレ・ロワイヤルの柱、ラ・ヴィレットのプロジェクト、トラム、ミッテラン大統領のグラン・パリ、はたまたフランス・ギャル、フワンソワーズ・アルディ、エミリー・シモンと共通の話題はけっこうあったので、優しい学生たちがぼくにあわせてくれたってことかな。お礼に、ではないが、たまたまもっていたキャロル・キングのCDを貸してあげる。もっともぼくもサンテミリオンをいただいたので、ぼくのほうが得をしたのだけれど。

そんなわけですこし遅めに起床。朝刊に目を通すといった感じで、建築最新情報のチェック。

Architectural Record, Daily News 2008/04/22の記事。みだしは「グッゲンハイム、さよならコールハース、こんにちはハディド」。アメリカらしく刺激的な言い方ですね。

リトアニアのビリニュスグッゲンハイム美術館分館が建設されるという内容である。

このポーランド領、旧ソ連領であったなど複雑な歴史を生きてきたリトアニア。ビリニュス旧市街地は1994年にユネスコ世界文化遺産に登録された。ルネサンス、バロック時代の建築が多い。

ラスベガスのグッゲンハイム美術館は2001年に開館、2008年5月13日で閉館である。ヴェネツィア・リゾート・ホテルのとなりにあった小規模美術館であった。外部はコールテン鋼でおおわれていたこの「宝石箱」「ひとときの真実性」は、ラスベガスのほかとは異彩をはなっていた。NYを拠点とするグッゲンハイムとロシアのエルミタージュとのジョイントであった。7年間に、10企画、110万人の来館者。ラスベガスにはもうひとつ、やはりコールハース設計の美術館を用意していたが、15ヶ月しか運営されなかった。両美術館を運営していたThomas Krensは、もうやめたと宣言。911事件の直後に開館したこれらは、地域の支援を得ることがむつかしかった。つまり新しい状況を念頭におくことができなかった。

新美術館はリトアニアのビルニュスに建設される。こんどもエルミタージュ美術館とのジョイントである。地理的に近いから、コレクションの融通などももっと円滑になるのだろう。地域社会との関係はよく調節されるであろう。しかしフィジビリティ調査の結果を待たねばならない。コンペの結果、ザハ・ハディド案が選ばれた。川岸のランドスケープにおかれたぐにゃっとしたザハの建築。竣工は2009年らしい。そのときビルニュスは「ヨーロッパの文化首都」となるであろう。

最後の引用の意味するところ。つまりルーブル、大英博物館、アルテスミュジアムなどと張り合っているのである。西ヨーロッパ枢軸v.s.アメリカ・ロシア連合軍のアート対決といったところだろうか。ダイナミックだね。

ところでフランスでは、地球から見るとささやかなメディア抗争が起こっている(ル・モンド紙のサイト、4月23日)。以前ル・モニツゥール誌の建築年鑑の編集方針に異をとなえた建築家たちが団結するようなことを書いた。そのつづきである。彼らは「フレンチ・タッチ」(なぜか英語)なる建築家グループを結成し、『楽観主義的建築年鑑Annuel optimiste d'architecture』なる対抗年鑑を編集して、ル・モニトゥール誌の年鑑、銀の定規賞、といった牙城をくずそうとしている。

メンバーは9月のヴェネツィア・ビエンナーレに参加しているので、この年鑑は待たれている。ル・モニトゥールの年鑑は大人路線であるのにたいし、optimiste年鑑は大胆で創造的なものにスポットライトをあてている。ようするに自己宣伝ではないか、掲載を断った建築家もいる、などの批判もあるが、建築イメージを高めることだけが目的と、主催者は反論する。

興味深いのはフランス国内の構図がすこし見えてくることだ。ボルドー建築センターArc-en-Rêveは協力を断った。IFAのディレクター(Francis Rambert)、アルスナル建築博物館のディレクター(Dominique Alba)は巻頭論文を書いた。Francine Fortの文章は掲載されなかった。出版に間に合わなかったということだが、本人は検閲だったと受け取っている。フレンチ・タッチの建築家たちは大人げないとも。年鑑は2007年のフランス建築を代表しているとは思えない、とも。

肝心のル・モニトゥールは涼しげ。とくに論争に加わろうとはせず、出版はいいことと、書店のいい棚に飾っておくこととしたとか。

フランスにはフランスの風が吹いている。

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