イスラム圏のキリスト教会建築
ふたつの教会は似ていないだろうか。三角のペディメントと大アーチ、大きな円形の薔薇窓 、こまやかなアーケード、3連アーチの玄関という構成である。塔のつきかたが違うが、どちらも双塔である。
これは「東方旅行」ですでに紹介したものである。左はチュニスの大聖堂、右はアルジェのサン=シャルル教会。建築的には同じ系統のデザインであって、同一建築家がさまざまなバリエーションを展開したというようにも想像できる。すくなくとも同じ教団の建築政策のもとで設計されたのであろうと推測される。イスラム圏における植民地時代の建築はまだまだ十分には紹介されていない。また教会はかならずしも国家的枠組みに対応しているわけではない。・・・しかしいずれにせよ、アルジェとチュニジアにおいて類似の教会デザインがなされたことは、なんらかの背景があったことを推定させる。
残念なことにWEBで検索しても、オルガンの紹介であったり、古い絵はがきの紹介であったりで、建築家や建設年代はよくわからない。20世紀初頭であろう、くらいである。また最新の文献でもくわしくは紹介されていない。
サン=シャルル教会の古い絵はがき。WEBより。
| 固定リンク
« 【書評】八束はじめ『思想史的連関におけるル・コルビュジエ---一九三〇年台を中心に10』10+1, no.47, 2007, pp.176-192 | トップページ | 【書評】磯崎新+浅田彰監修『Anything 建築と物質/ものをめぐる諸問題』NTT出版、2007/存在証明か不在証明(アリバイ)なのか? »
「東方旅行(1)スペイン・マグレブ」カテゴリの記事
- 東方旅行(032)1987年12月31日(木)チュニスからカイロへ(2007.09.29)
- 東方旅行(031)1987年12月30日(水)ドゥガ(チュニジア)/地中海文明の重層性をあらわす好例として(2007.09.28)
- 東方旅行(030)1987年12月29日(火)スーサ(チュニジア)(2007.09.27)
- イスラム圏のキリスト教会建築(2007.09.23)
- 【書評】八束はじめ『思想史的連関におけるル・コルビュジエ---一九三〇年台を中心に10』10+1, no.47, 2007, pp.176-192(2007.09.22)
「宗教と建築」カテゴリの記事
- 五島の島めぐり(2009.08.01)
- 若桑みどり『聖母像の到来』(青土社)を読んで(2009.05.02)
- フレノ神父と浦上天主堂(長崎)(2009.01.16)
- 日曜日は教会にいこう!・・・というわけで美野島教会となぜかロリアン市のノートル=ダム教会(2008.06.08)
- サント=クロチルド教会(パリ)と様式論争(2007.11.10)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント