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2007.09.14

東方旅行(024)1987年12月23日(水)さらばアルジェ

東方旅行(024)1987年12月23日(水)Alger5日目。雨。【パスポート】10時、シリア大使館にパスポート+ヴィザをとりにゆく。【両替】アメックスTC80ドルを392DAに。【郵便】絵はがきと手紙を郵送。【切符】AlgerからBatnaまで67DA。22時発。

【暴言】アルジェでは大使館がよいに時間とタクシー代がえらくかかった。さらに電池代、電話代、大出費であった。丘にのぼり古代博物館、人民会館を訪ねる。前者は閉館、後者も工事中につき閉館。ただし庭園にははいれた。ヴィザのためにかけずり回った披露が一挙にでる。おまけに雨。ついていない。
 バスは22時発、時間が余りすぎる。カフェは少なく、あっても満員。今日は水曜日であるが、これは日本の金曜日に相当する。なかなか座れない。待つのはつらい。バスの中で寝たい。
 アルジェリアの人びとは世界一友好的なのではないか。唯一の弱点は、公共の場で女性がほとんどいないことである。パリがなつかしい。アルジェリアは会主義国家だからチップの必要がない。おなじ理由でソ連ツアーの広告がある。しかし人びとはどうみても西側先進国にあこがれている。アルジェリア研究はフランス建築史のウラとして面白い。しかし資料が不足している。文化遺産の保存、資料の管理維持という点では遅れているのではないか。(後注:20年以上してコーエンがアルジェのモノグラフを出版した)。新市街地はフランス19世紀末のはなやかなものが多い。材料の関係か、フランスでは石の素材をそのまま露出しているものが多いが、ここではプラスター、ペンキなどで白く塗りたくってる。【出発】22時バトナ行きのバスに乗車。車中泊でも休息は休息。

【建築見学】日時不明のもの。

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大郵便局Grand Post、中央郵便局というほどの意味であろう。これは典型的なコロニアルな状況を反映した公共建築である。アルジェリア的あるいはイスラム的な要素としては、馬蹄形アーチ、窓、塔の頂上のドーム、柱頭の鍾乳的造形、ドーム見上げの幾何学的パターン、銃眼風のパラペットなどである。ヨーロッパ的なところは、建築ボリュームそのもの、3連アーチに両側の塔状部分といった構成、などである。すでに町並みにとけこんでいるので当たり前のものとして目には映るが、イスラム的細部を使って西洋的全体を構成している例としてはうまくまとまっていると思われる。

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人民会館Palais de peuple。これもイスラム的馬蹄形アーチなどを多用したデザインである。しかし地上階の大アーケード、2階のレース状アーケードという組み合わせは、ヴェネツィアの総督府に由来している。そしてヴェネツィア建築そのものが中世以来、ビザンチン、イスラム、ヨーロッパの混交であったことを思い出すとき、19世紀の折衷主義的フレームワークのなかでの様式の混交は、それじたい混交の歴史をひきづっていることを認識させられる。

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パリ的町並みである。砂岩でできたコリント式オーダーの古典主義建築は、これはオーセンティックな様式の例であり、コロニアルのレベルを超越している。市井のアパルトマン建築は、コリント式ピラスターもあるが、たくましい物干しとなっている。3階ベランダの持送りは豊満な乳房をした女性像であり、入植ヨーロッパ人の開放感を感じさせるとともに、独立後のイコノクラスムの対象にはならなかったことが感慨深い。原理主義の時代も生き残ったのだろうか?

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お金持ちの住宅と思われる物件。馬蹄形アーチ、ベランダが気持ちよさそうな戸建て。また中央部分が開放的な、あきらかにヴェネツィアのパラッツォをまねた邸宅もみられる。

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某有名建築家の集合住宅。マルセイユやナントやベルリンのものとちがって、斜面に建設されている。したがって空中歩廊を歩いて突き当たりまでゆくと、そこからすばらしい眺望を見下ろすことができるようになっている。車にも注目されたい。かわいいルノー。

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  いまでは400万人都市だから郊外は膨張し、スラム的なところもある。なおかつ斜面が多いので、地形的にはかなり変化に富んでいる。

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