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2007.08.16

【書評】大野芳材『フランス近世の美術』財務省印刷局2003

 大野芳材『フランス近世の美術』財務省印刷局(2003)である。4年前の出版だが、専門家による背伸びしていない解説であり、読んでいて安心感がある。

 美術を支えたメセナ、社会基盤、すなわち王、貴族、教会、ブルジョワジーから論じており、アカデミー、サロン制度、美術批評というジャンルの成立などから論じている。

 個人的に興味があるのが、17世紀中葉の教会である。すなわち1622年にパリがサンス司教区から独立すると、イエズス会、カルメル会などの教会堂建設が盛んになり、宗教画の発注が多くなったこと。この宗教画熱は1660年ごろいちど終わる。しかしナント勅令廃止ののちにふたたび建築熱+宗教画熱がおこる(57頁)。とくにカルトジオ会についてが詳述されている。マリ・ド・メディシスのリュクサンブール宮建設のために敷地を南下させた同会はウスタシュ・ル・シュウールに多くの宗教画を発注する(59頁)。なるほどこの世紀、おおくの教会堂が建設され、古典主義建築のなかに確固たる位置を占める。

 王室関係では、王の入城式(ぼくは「入市式」のようがいいと思うのだが)、宮殿での祝祭などが美術をリードしたというくだり、古典主義が作品をひとつの時に支配させようとしたこと、ブーシェ、フラゴナールらのロココ絵画が、動き、瞬間を絵にしようとしたことは、おもしろいのでもっとくわしく読みたかった。

 個人的な感想としては、新古典主義がだんだんつまらなく思えてきたことである。絵画もそうだし、建築もそうである。ブレもルドゥもアンビルトとして評価できるのであって、実現したらかえって興ざめであったかもしれない。

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