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2007.08.17

東方旅行(013)タンジェ、フェス

Dscn5785013)1987年12月12日(土)晴:Tanger→Fes:【移動】タンジェ→フェス。鉄道、315km、74DH。昨夜は寝付きが悪く、眠い。晴れときどき曇り。鉄道から見える田園風景はすばらしい。緑がきれいである。土、コンクリート+レンガの貧しい集落。農家。ゆるやかな起伏をくりかえす畑。この風景からは豊かさが連想されるが、あるのは貧困。土の家。中庭式。土の家は、ほとんどがベルベル人のものだとDscn5788か。【車中にて】モロッコ人には2種類いる。ガイドと称する貪欲な 人間。善良で親切な人びと。タンジェからのSSの列車ではモロッコ人家族と同席であった。父親はエンジニア。日本人も知っているようで友好的であった。【駅にて】Fesの駅で下調べ。Rabatへの列車。7:22発。236km。54DH。到着は11時ころ。【町にて】パリで事前調査したとおり自称ガイドがうるさくつきまとう。追い返しても結局、絨毯屋、賭博屋に連れて行かれる。絨毯屋ももちろんタフネゴシエーターだが、こちらもお金がないので、なんとか買わない。あの手この手の勧誘Dscn5789のらりくらりと答える。「お前は返答がうまい」とほめられる。勝手ガイドは、最初、報酬はボールペン1本でいいといっていたが、最終的にはマルボロと5DHとなっていた。これも経験である。・・・しかし昼間から堂々と「ミスター!グッド・ハシシ!」と大声で呼びかけてくるのは困る。それも子供である。【宿泊】Hotel Saboy:3人部屋。35DH。これはフランス版バックパッカーガイドGuide de Routardの推薦ホテル。【フェズ小史】808年にベルベル人の王朝の首都となる。13世紀、14世Dscn5781紀に発達。1981年に世界文化遺産登録。現在ストラスブールと姉妹都市である。私見によればストラスブールもゴシック時代に発展した都市であるので、同じ頃に黄金時代を迎えていたという共通性がある。ちなみにここも世界遺産に登録されている。【建築見学】Medersa el Attarine(英語だとMadrasa al-Attrin):1323年スルタンAbou Saidが命令、学生の寄宿舎として建設され、1325年に完成。Marinid朝のスルタンたちはスーフィーとのバランスをとるべくスンニ Dscn5777ー派の教義を推奨した。壁、柱、透かし窓などは、もともと宮殿的な造形だが、それを学校建築に適用したもの。中心部のスパイス市場の近くにある。今日でもフェスの大学のひとつ。中庭(豪華)、説教室、学生の修行部屋(質素)からなる。・・・マドラサは学校である以外に、地区のモスク、公的行事のためのホール、旅行者のためのゲストハウスなど多機能であった。これはよい。メディナはカオスであり、モスクとメデルサはコスモスである。コスモスを内包しているカオス、これがイス ラム都市である【感想】キリスト教の空間がつねに超越を目指すのとは違って、イスラムは細密画的空間を目指す?空間と装飾という二分法をつかうと、マドラサの壁面、スクリーン、柱頭などは装飾なのであろう。それは空間をとおして身体を規定しない。しかしイスラム的な世界観がそのまま反映されているとすれば、精神を規定する空間性が表現されているといえなくもない。平面がこまかくこまかく分節化されていくことこそ、イスラム的空間なのであろう。キリスト教的空間においてつねに「より高く」の声が聞こえるように、イスラムではひたすら分節化を目指す。しかしそれは小宇宙であるというより、見る者の精神の感受性をより高め、そこに大宇宙さえかいま見させようという指向が見られる。

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