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2007.06.28

イル=エ=ヴィレーヌ県公文書館

Img_2576_2Archives départementales d'Ille-et-Vilaine, architecte: Jean-Marc Ibosである。 この公文書館へは建築見学ではなく調べごとでいった。2007年6月中旬である。旧施設は市内にあって、市公文書館のすぐ隣であったので効率よく調べられるとおもっていたら、引っ越しの直後であった。レンヌ都市共同体をかこむ環状道路のすぐ外側にあって、周囲も集合住宅などぽつりぽつりと建っているが、まだまだ街にはなっていない。地下鉄とバスを乗り継ぐことになったが、便数は多く、ホテルから30分ほどであった。

 正式には7月開館であるが、6月でも利用させてくれた。スタッフも好意的で、図版などは原則としてPC上でしか見せられないが、オリジナルをみたいというと責任者が特別許可をくれた。WEBはまだ準備段階で、館内の常設PCでは検索閲覧可能であるが、外部あるいはインターネットにつながるのは7月からだという。

 建物である。アプローチには庇はなく、朱色の斑点が舗装から外壁やドアにまたがって描かれており、それとなく入口を示唆している。この色はパーキングのマークにもつかわれている。アクセスの色ということか。 

Img_2567_1  個人ロッカーはハンドルを回して操作する可動式集密書架とおなじもので、ウィットに富んでいる。人が挟まれないよう、身長よりは低くしてある。内装はダークなので、ロッカーと椅子などは多彩色である。閲覧室は、屋根はすべてガラスで、日光をセンサーが判断して自動的にブラインドを開け閉めしてくれるが、その音がうるさい。テーブルは両側で20人ほどが使える巨大なもので、ステンレス一枚板である。公文書を扱うには摩擦がなくよい。また天井からの自然光を反射して気持ちがいい。カゲのない内部空間である。

Img_4087_1   素材、光の使い方など、ジャン・ヌーヴェル的であることは否めない。郊外のあっけらかんとして空疎であるこの公共施設に、こうした意図的な緊張感は必要なのかどうか。たとえば閲覧室は、どうみてもパラッツォの中庭をアトリウムとしたような例を思い出してしまうのであり、強いていえば都市建築の空間である。ということはコンパクトであった中規模都市が、ペリユルバニザシオンとよばれる動向のなかで、きわめて疎な外周をもつようになったここ30年のフランス都市のなかで、ほんとうに郊外にふさわしいというような公共建築の良質の例はまだ少ないのではないか。日本とは逆で、建築とはすぐれて都市建築であったフランスで、宮殿ではない、疎な建築というものが空白域となっているのであろうか。

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