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2007.06.30

パリの新プロジェクト-----パトリック・ベルジェとジャック・アンズィティが「キャロ・デ・アール」の建築家に

昨日パトリック・ベルジェが設計したブルターニュ建築大学校舎の話をしたばかりであるが、本日WEBを眺めていると、LeMonde.fr, 290607, 19h32によれば・・・・・

070630_les_halles_lemonffr

「パリ市長が主宰するジュリイは、629日、パトリック・ベルジェとジャック・アンズィティを「キャロ・デ・アール」の担当建築家に選定した。この建物は1970年にクロード・ヴィスコンティが首都のただなかに建設した地下ショッピングセンターであるフォルム・デ・アールにとってかわるものである。・・・・この新プロジェクトを実現するにあたって当選者たちは建築家ダヴィド・マンジャンが定義した工事義務明細書を遵守しなければならない。マンジャンがこの「キャロ」アイディアの創案者である。キャロとは、地上9メートルに、一辺145メートルのガラス屋根を架けるというもの。着工は、庭園が2008年、フォルムは2009年の予定。新しい建物は2012年に竣工の予定。・・・・パトリック・ベルジェはパリですでに、アート高架橋、アンドレ=シトロエン公園の温室、ジャック・アンズィティはレンヌ都市共同体の行政本部を手がけている。」

http://www.lemonde.fr/web/article/0,1-0@2-3246,36-929898@51-929899,0.html

現状のレ・アールは、傘状デザインの地上建物も古くなった、駅へのアクセスもわかりにくい(エスカレーターはよく故障する)、高速地下鉄の乗り換えがわかりにくい、空間が断片化しバラバラ、周囲の都市と融合していない、など改修は必至である。現地をみればわかるが、地下街は死角がおおく、迷いやすく、犯罪も多い。

レ・アール再整備計画のコンペは、コールハースやヌーヴェルらも参加して、結局マンジャンが当選した。その計画は、ショッピングセンターにはガラスの大屋根を架け、既存の庭園部分はバルセロナ風並木道(rambla)に改めようというものであった。ほかの案とくらべると控えめであった。

 2007年1月にマンジャン案に決まったとき、パリ市長は社会党であったこともあり、もっとも建設費が安くてすむのと、既存商店経営者たちのロビー活動に逆らえなかったという評判であった。当選時にはガラスの大屋根については、マンジャン自身も今回は都市計画の主体を決めるコンペであったと優等生的コメントをし、庭園下の地下街を手がけたポール・シュメトフも建築やイメージを決めるのではなく、定義づけを協議したということ、という理解であった。市長はこのプロジェクトをZAC(協議都市計画区域)としてさまざまな意見をとりいれて検討する意向であった。

今回ベルジェらが建物担当となったことで、ガラスの大屋根建設に弾みがつくことが期待される。

 ところで中世におけるフィリップ・オーギュストのレ・アール再整備まで遡らなくとも、1848年のコンペでバルタール案が当選し、ナポレオン三世の「大きな傘、それだけあれば・・・」の一声で鉄とガラスの軽快な建物ができたことくらいは押さえておこう。市場は1970年代にランジスに移転するが、その間、ジスカール・デスタンは国際商業センター構想をあきらめて、フランス式大庭園とする決定をし、高速地下鉄RERの地下駅ができ、1978年、当時市長であったジャック・シラクはボフィールを呼ぶも果たせず。1980年代、ポール・シュメトフがサン=トゥスタシ教会横の庭園下に地下街を建設した。PC構法によるもので、ヴィオレ=ル=デュク以来の正統的な合理主義を貫いたと自画自賛していた。

 マンジャン(案)が保守的と指摘するのは容易である。しかしどの意味において保守的なのかという中身を指摘しないことには批判になっていない。また「歩行者優先でヘテロジーニアスであるのが都市空間」というマンジャンの理念もとくに矛先を向けるようなことではない。ド・ボドーがゴシックを、ペレが18世紀古典主義を、ル・コルビュジエが人文主義的伝統を、シュメトフがヴィオレ=ル=デュク的合理主義を、D.ペローが古典主義のスケールを回復したように、マンジャンもナポレオン三世の理念を違うかたちで実現し、そのことによって19世紀の首都であったパリのそのまさに19世紀性、それがパリにおいて実現されるべき都市性であることを主張しているのではないか。つまり19世紀パリは、都市のありかたにおけるひとつの古典なのだ、という理念が根底にあるというように解釈できる。

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