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2007.06.29

ボルドーが世界遺産に・・・・いわゆる歴史的地区を越える、遺産としての都市という概念

LeMonde.frを漫然と見ていたら(現地時間2007年6月2911時)、ボルドーの歴史的街区が、628日付で、ユネスコの世界遺産に認められたそうである。認定されたのは、いわゆる歴史的街区のみならず60年代の人工地盤により開発されたメリアデック地区(そのアパート式ホテルに去年しばらくいたので思い出深い)までふくめ、1810ヘクタール、市域の半分にあたるという。

070629_bx_pl_bourse_1

 1967年にマルロー法によってパリのル・マレ地区などとともに歴史的街区に指定されたとき150haだったというから、その十倍以上の面積が今回認められた。比喩的にいえば、これは伝建地区が世界遺産に単純に昇格したなどというものではない。パリのシャイヨ宮では定期的に文化遺産のシンポジウムが開催されており、たしか1999年は遺産としての都市といったテーマで、ヨーロッパの都市全体が遺産であるといった議論をしていた。それが現実的に認定されたという印象である。さらにいえばいわゆる歴史的街区というより、その空間を含む、歴史的連続性にたった都市計画の取り組みそのものが遺産の背景として認められたというような印象である。つまり歴史的街区を生かす現代の都市計画であれば、その遺産の延長としてみなしうるのである。

 こうした場合は、当事者の公式HPをみるのがベストである。ボルドー市公式HPをのぞいての大あわての抄訳である。

「ニュージーランドのクライストチャーチで開催されていたユネスコ世界遺産委員会は6月28日、ボルドーの世界遺産リストへの登録を告げた・・・・。

・・・ボルドーでは、都市と建築、古典主義と新古典主義による文化財は一体のものとして2世紀のあいだ断絶なく継続してきた。市長アラン・ジュペ(土居注:この前の選挙では苦杯をなめたが)が1996年以降、プロジェクトを継続してきた。ファサード清掃、ガロンヌ川岸整備、トラム、歴史的建造物の保護。歴史的建造物として指定されているのは350物件・・・・。そのうち3件は、サンティアゴへの巡礼路が世界遺産となったことと連動してすでに指定されている。

・・・・・・これはながい協調の果実である。公共諸団体、国。市長アラン・ジュペのもとさまざまな専門家が協調してきた・・・・・

Unesco_carte_v3 ボルドー方式の独特なところは、指定区域がきわめて広いことである。・・・・1810ヘクタール、すなわち市の(行政域)の半分におよぶ。さらにボルドー市域全体、そして8の周辺市町村もまた遺産らしき区域(zone de sensibilité patrimoniale)としてそれに準じる。

・・・・・・・世界遺産の登録によりツーリズムはこれから良い効果がもたらされるであろう・・・この都市と地域の文化的、経済的活動にとっての助けとなるであろう。・・・」 http://www.bordeaux.fr/ebx/portals/ebx.portal?_nfpb=true&_pageLabel=pgPresStand8&classofcontent=presentationStandard&id=14257

ボルドーは気になる都市のひとつでありご同慶のいたりである。また都市そのものが文化遺産である、ということが理念ではなく、現実の力となって実現してしまうことに、我彼の差を感じもする。

しかしボルドーでしばらく滞在した外国人としてやや辛口の批評をするとすれば、歴史的街区にはかなり空き家もおおく、アクティヴィティが埋まらない状況である。これは50年代60年代の成長型都市計画によって都市機能がかなり外に移転してしまったせいではないかと思われる。そうした議論はいまさらしてもしょうがないかもしれないが・・・・。逆にいえば、都心部ののびしろは大きく、保存と両立するどのような投資を招くかという方向で都市経営を考えるべきかもしれない。

 

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コメント

ブログ開設おめでとうございます。
ボルドーも世界遺産になったんですね。知りませんでした。
フランスあたりは、世界遺産の受け止め方っていうのはどうなんでしょう。日本のように、地域や国を挙げてのお祭り騒ぎなのか、市民は比較的淡々としているのか。気になるところです。

投稿: A | 2007.06.30 21:05

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