ヨコミゾマコトさん講演会
ヨコミゾマコトさんに大学まできていただいて講演会をしていただいた。
彼は3月、「デザインレビュー」(地元でやっている学生課題の合同講評会)にクリティークとして来ていたので、学生たちにとってはうれしい再会であった。
土曜日の3時から、時間はたっぷりあった。集中講義の形式を利用してであった。ヨコミゾさんもしっかり準備されていた。
主要44作品を2時間半ほどかけて年代順に説明していただいた。なかなかない経験である。
というのは通常の講演会では作品を選び、編集し、テーマを特定して話すのである。しかし今回のようにあえて積極的な意味で編集せず(とはいえひとつの作品のなかでは図面・写真などはチョイスされているのだが)時間順でというのは、ナマの感じがつたわってくるし、仕事の依頼、コンペ、着想などというものが具体的になまなましく立ち上がる様相が想像できて面白い。
首都圏の狭小住宅/地方の公共建築という構図はやはりあるのだなという実感。そのなかで21世紀は東京の一人勝ちなのだが、それでも地方にもそれなりの突破口があるのではないかという期待もいだかせる。
それからヨコミゾさんのアプローチも、きわめて具体的なものからはじめて、それを普遍化してゆくというやりかたであり、学生諸君には参考になったのではないか。たとえばダンスの舞台装置設計という機会に、モダンダンスにおける構成法を部分から全体を構築するやりかたとしてとらえるのだが、つまり観察したことを建築に翻訳してゆくのである。
建築学というものの組み立てがそうなのだし、とくに地方ほどその傾向があるのだが、やはり大所高所からはいりたがる。世の中の問題やいかにという大問題から出発し、それを個々の現場に適用して考える。これでは意識していても、どうしても既存政策の展開のようなものになってしまう。彼のアプローチはむしろ逆で、建築家と現場あるいは個々の課題のあいだの具体的な対話があって、それが次第に普遍化され一般化されて、都市や社会に繋がってゆくというもののように感じられた。
だから、建築によって社会を変えられるかもしれないよ、という学生へのメッセージもとても説得力があった。
言葉で説明すると簡単なことのようでいて、こうしたことは通常カリキュラムの組み立てのなかでは難しい。具体的な論理が、実践的な場でどう展開されるかというようなことは、生身の建築家がしていいることを追体験するのが一番である。
プロジェクトのスタディ、素材、建築家の領域拡大、構造設計家とのコラボ、施主とのコミュニケーション、直近のコンペ、などについて貴重なアドバイスをいただく。建築家は、建築家であること、その活動領域のありかたまで設計するもののようである。
ぼくはぼくで、ひとりの建築家を半日かけて味わい尽くすのはほんとうに勉強になる、などと自分の企画を自画自賛したりする。
学生たちは食事会にもついてきて彼にいろいろ質問を投げかけていた。解散するころには学生たちもぼくもとてもハッピーになっていた。ありがとうございました。
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